$鬼瓦権蔵の心の叫び 言葉遊び 道徳


グスコーブドリの伝記


冷害による飢饉で、

父に続いて母も家を出ていき、

妹が連れ去られてひとりぼっちに

なってしまうブドリ。

そのブドリが時折り迷い込む

不思議な世界と現実の狭間で生命の神秘が蠢く。

常にブドリには温かい手が差し伸べられるが、

ブドリと山師の赤ひげによる農作業の光景が、

唯一、

楽しく明るい。

全篇、

色使いが綺麗な絵で描かれるが、

後半、

街を飛び交う乗り物のCGの質感が

ほかの手描きの絵に馴染まない。

寂れた森と文化の進んだ街の差を出すために、

わざとそうしたのだろうか?

そうだとしても、

ギラギラしすぎて背景から完全に

浮いた感じは違和感がある。

物語の方はというと、

再びやってくる冷害を、

ブドリが命を賭して防ぐ覚悟を決めるのだが、

どうも話が抽象的で得心がいかない。

ブドリの行動に共感できるだけの

プロセスが希薄で、

そのうえ具体的なアクションもない。

こういう描写も有りだろうが性に合わない。

それに、

この子(ブドリ)は

『はい』しか言わない。

物分かりがいいのか、

主張がないのか。

もっと前向きで明るい猫の物語がいい。