Aさんが高速バスに乗り、

出発を待っていた時のことです。

発車時間ギリギリになって、

一人の青年が駆け込んできました。

青年は息を切らせながら、

険しい表情で席を探しています。

Aさんは<今どきの若者が

乗ってきて厄介だなと、

第一印象から不快感を覚えたのです。

すると、

Aさんの後ろに座っていた老婦人が

「どうぞ、こちらにお座りになって」

と窓側の席を譲ったのです。

「私はトイレに行くことが

あるから通路側がいいの。

勝手なことを言ってごめんなさいね」

と話しかける婦人に、

青年はていねいに会釈して席に着いたのです。

その後、

青年は婦人が降車するまで、

誠実に彼女の話を聞いていました。

そのやり取りを耳にしながら、

Aさんは青年がバスに

乗ってくるやいなや、

良いイメージを持たなかった

自分を反省しました。

自分は人を見た目で

判断していたと気づいたAさん。

まずは相手のそのままを受け入れよう。

具体的な評価はそれからの

ことだと気を引き締めたのです。