$鬼瓦権蔵の心の叫び 言葉遊び 道徳



幸せへのキセキ


実話から生れるストーリーの

自然な展開と真実が持つ

重みと強みを上手く活かして描いた

爽やかな感動で胸が一杯になる秀作映画だった

俳優陣の誰もが絶妙な

バランスの取れた芝居展開をして、

極度に悲しみを押し付ける様な作品では

無かったところがより好感の持てる作品だった。

主役のベンジャミンを演じる

マット・デイモンは個人的に

大好きな俳優の一人なのだが

正直ここ最近は、

観ていて大満足出来る

役に恵まれていなかった気がして、

彼のファンである私には、

少しばかり消化不良な気がする

作品が多かったのだが、

久し振りに良い役処が

巡り廻って来たと言う印象を持った!

家族の誰かを失うと

言う事程辛い喪失感は無いものだが、

その喪失感を家族みんなで克服し、

乗り越えてゆくプロセスを

人生に於ける1つの

アドベンチャーとして捉えて、

再生へと日々努力して

生きて行くプロセスがゆっくりと自然に、

丁寧に描かれる事で、

あたかも観客の一人一人が

ベンジャミンの家族と一緒に生活を

織り成している様な気持に成れる無理のない、

日々の小さなエピソードの

積み重ねを描いていく事で、

リアルな物語に素直に感情移入が

出来る作品に仕上げられているのだ。

正直なところ、

映画を観るまでは、

動物園付きの物件などが

実際に売却される事など

本当には存在する訳が

無いと内心懐疑的な目でみていたのだが、

ミーの家族の生き方なら、

こう言う選択をして生きて行くのも

ナチュラルだと思えた。

長男のディランと長女のロージーが

とても活き活きとしていて可愛いのだ、

丁度反抗期を迎える年頃のディランにとって

その時期に母を失うと言うのは感情的に

物凄くコントロールが難しく、

苦しい気持ちを日々どうする事の出来ない

内面に抱える自己の葛藤を

コリン・フォードは巧く演じているし、

娘のロージーの年頃では本当の

意味で死と言う現実が

理解出来ないでいる様な年頃だと思うのだが、

マギー・E・ジョーンズはその天才的な芝居で、

ロージーに完璧に成りきっている。

「ファミリーツリー」も

感動作だったがこちらも負けず劣らずに

最高に良い!そして

ベンジャミンの兄ダンカンをトーマス・ヘイデンが

また良い味でこの家族を後押ししているのだ。

とてもキャスティング的にもハマり役が揃っているのだが、

それぞれでいてキャストみんなが演じる事柄はどれも、

日常の些細な小さな生活描写であるにも関わらず、

それでいて見応え充分な作品に

仕上がっているというのが

この映画の素晴らしさなのだ。

平凡に生きる私達の人生とは

特別には大きな変化の有る日常では無いのだ。

料理をして、

子供を学校に送り出し、

親なら誰しもが子供の学校生活の

些細な事に一喜一憂するし、

まして冒険家の取材を主に扱う

コラムニストだったベンジャミンは

子育ての大半を妻に任せていたのだろう。

子供達との距離感の取り方にも

迷いが有るのも当然だ。

しかし特別なイベントは無いが無い家族の元に、

突然の家族との死別という

思いがけない大転機を

体験しなければ成らない事も起こり

得るのも私達の現実だ。

しかしこの映画はあくまでも、

可哀相な父子家庭のお涙映画にせずに、

死別を乗り越えるプロセスを

自然に生活感のあるリズムを

持って描き出した事で作品のクオリティーを

昇華させている!久し振りに

自然と感動の涙が映画のエンディングで

溢れた最高の作品で、

この映画に出会えた事を素直に喜べるたのだ