比叡山飯室谷不動堂長寿院の住職・

酒井雄哉氏(八十五歳)は、

千日回峰行を二度成し遂げたことで知られます。

千日回峰行とは、

約七年間かけて比叡山中を千日間、

回峰巡拝する天台宗独自の修行法です。

七百日目には、

堂にこもり九日間の断食、

断水、

不眠という命がけの行が行なわれます。

歩く行程は延べ四万キロで、

地球一周分に相当します。

満行すると

「大行満大阿闇梨」という称号が与えられます。

戦後、

この行を成し遂げたのは十二人。

二度成した人は、四百年間で三人しかいないそうです。
 
この行を終えた酒井氏は、

「急に二千日歩いたのではなくて、

毎日毎日の積み重ねです」と語ります。

そして

「一日が一生と思って生きる」

ことを提唱します。

目標がなければ、

今日という日は何となく過ぎていきます。

朝目覚めたことに感謝できれば、

いつもとは違う一日がスタートするでしょう。

生きているのは今であり、

今日が一生と思い、

大切な一日を過ごしましょう。