Kさんの尊敬していた叔父が、

五十代で病気を思いました。

煙草を片時も離さない叔父が、

Kさんに

「煙草はやめたよ」と言ったのです。

Kさんも叔父ほどではありませんでしたが、

煙草が大好きでした。

Kさんは叔父の言葉を聞いたその時から、

禁煙を決心しました。

禁煙して初めて気づいたことは、

指先に染み付いた匂いでした。

自分の嗅覚が麻痺していたのでした。

それから数日のうちに、

食事が美味しいと感じるようになりました。

味覚が甦ってきたのです。

それでも、

いつも口寂しい思いがあり、

煙草を吸っている人に近づいて

匂いを嗅いでいたりしました。

ある日、

Kさんは妻に

「もう一度煙草を吸おうかな」

と告げました。

すると今までKさんのすることに、

一度も反対をしなかった妻が、

「それだけはやめてください」と言ったのです。

Kさんの禁煙を、

家族が喜んでいたと知ったのでした。

家族が不平を言わず、

好きなようにさせてくれていたと

気づいたKさん。

改めて家族に感謝し、

家族が喜んでくれることを

しようと決意したのです。