Mさんが新入社員だった頃の話です。

ある先輩に対する非礼を

強く悔やんでいたMさんは、

思いつめた末、

直属の上司に相談しました。

上司は、

自分自身の同じような失敗談を、

赤裸々に話してくれたのです。

そして「心の中で悪いことをしたと悔やんでも、

それだけでは本物ではない。

その思いを言葉として発することが大切だよ」

と諭されました。

それを聞いたMさんは、

鉛のように重かった心がすっかり軽くなりました。

上司の語ってくれた失敗談によって、

Mさんはスッと背中を押されました。

この人も同じ道を通って来たのだという安心感が、

心の重石を取り去ったのです。

Mさんは先輩のもとに出向き、

心底から詫びることができたのです。

以来、

Mさんと先輩とは強い絆で結ばれた間柄となり、

それは現在でも続いています。

 どんな人であっても、

失敗を経験することで成長します。

後輩育成のポイントの一つは、

先輩としての失敗談を彼らの肥やしにしてあげることです。

失敗談は聞く人に共感を与えます。

こんな背中の押し方もあるのです。