釣果が上がり魚を十匹以上釣ったことを、釣り用語で「つ抜け」といいます。

 物を数える時、「一つ」から「九つ」までは、「つ」を付けて数えますが、十になると「つ」が抜けることから、ある物事に秀でている様を表わします

 Sさんは趣味の釣りをしていた時、この言葉をヒントに新たな思いを抱きました。好きなことに興じている時は、暑さ寒さを忘れ、時間の経過を早く感じます。そして、気の乗らない時ほど、時間の経過は遅く感じます

 「気の持ち方で変わるならば、辛くて疲れるようなことでも、釣りをしているような心境で、無我夢中で取り組んだら楽しいのでは」と思えたのです。

 そこでSさんは、「つかれた」「つまらない」「つらい」「ついてない」など、よく口に出していた「つ」のつくマイナス言葉を使わないこととし、与えられた仕事は「ハイッ、喜んで」と引き受けようと決心しました。

 人並みではなく、「つ抜ける」くらい何事も一所懸命に、そして楽しみながら取り組もうと、心を新たにしたSさんです。