N氏が出張を終え、

飛行機で帰路についた週末のことです。

連休を控えた機内は満席で、

出発に際し客室乗務員が、

最終の安全確認を

入念に行なっていました。

N氏と通路を隔てた席では、

男性が座席を倒し、

テーブルに飲み物を置いていました。

ほどなく客室乗務員が立ち寄り、

「間もなく離陸しますので、

シートとテーブルを

元の位置にお戻しください」と

丁寧かつ毅然と注意をしました。

すると、

男性は逆上して

「離陸の時は戻すよ。

A社ならこのぐらい許すぞ」と

競合する航空会社の名前を出して、

吐き捨てるように言いました。

それでも、

周囲から寄せられる冷たい

視線を感じたのか、

しぶしぶその注意に従ったのでした。

「ご協力いただきありがとうございます」と

笑顔で応え、

綺麗なお辞儀をして立ち去る

客室乗務員の洗練された姿に、

N氏は「さすがプロだな」と

感嘆しました。

離陸後、

飲み物が配られた際、

N氏は「先程は素晴らしい対応でしたね」と、

客室乗務員に声を掛けたのです。

「安全」を最優先する

仕事に携わる妥協のない姿勢から、

大切なことを学んだ思いがしたのです。