マネーボール
インディアンスの事務局で
ビリー・ビーンがピーター・ブランドを
問い詰めるシーンが面白い。
ビリーはピーターが一種独特の
才能を持っているのではないかと
探りを入れるが、
新卒のピーターはヘビに睨まれた
カエルのように落ち着かない。
それでも自分の考え方に自身を
垣間見せるピーターをジョナ・ヒルが、
その体躯ともども愛嬌のある演技で好演。
ブラッド・ピットも悪くないが、
ジョナ・ヒルがかなり食っている。
子役ケリス・ドーシーも、
ビリーが野球から離れたほんのひとときを
癒す一人娘ケイシーを上手く演じ、
歌でも頑張った。
そこにいくと、
アスレチックスのハウ監督役の
フィリップ・シーモア・ホフマンは
見せ場がない。
もったいない使い方で、
なにか物足りない。
データ重視の運営論に重きを置きすぎて、
試合展開にどう活かされたのか
判然としないところがあり、
現場の熱さが伝わってこない。
ホフマンが生き生きとしないのは、
古い考え方の監督という役柄だけではなく、
ゲームの描写が希薄なためだ。
その割には上映時間が133分もある。
アメリカ人や、大リーグ・ファンに
とっては語り草のゲームかも知れないが、
試合内容がどうも掴めない。
予告篇のテンポのよさが
本篇にないのが残念。
そして、
もう少し滑稽な作風に仕上がっているかと
思っていたが違っていた。