$鬼瓦権蔵の心の叫び 言葉遊び


コンテイジョン


『たった1回の接触から始まった』は、

たった1発の銃弾から始まった

「バベル」(2006)によく似ている。

現代社会に於いて、

ひとつの出来事は一地域の中で収まらない。

地球の裏側にまで影響を及ぼす可能性がある。

この点が「バベル」と同じだ。

感染率の高い未知のウイルスは

あっという間に世界に広がる。

交通網の数だけ広がる。目に見えず、

致死率30%という恐怖が猛威をふるう。

どこぞの製薬会社からウイルスが洩れたとか、

化学兵器が誤作動したとか、

そういう話ではない。

もっと現実的で、

今にも起こりうる自然の脅威を描いている。

したがって、

ウイルスの正体はすぐには分からない。

感染源を探索する医師さえ倒れていく。

街では暴動が起き、

少しでも効力があると噂される物を奪い合う。

人々の恐怖を煽り、

それさえも食い物にする輩も出現する。

たしかに、

この映画のキャッチコピーにあるように

『【恐怖】は、

ウイルスより早く感染する』

まさにその通りだ。

その点では、

よく描けている。

ただ、

この作品を作るのに、

ここまで主役級のスターが必要だろうか?

ミッチ・エムホフの役は

マット・デイモンでなければいけなかったのだろうか? 

マリオン・コティヤールの

怪しげな魅力はどこに

生かされていたのだろう?

そう考えると、

ブラッド・ピットやケイト・ブランシェットを

はじめ世界中の役者を集めたあの映画、

やっぱり「バベル」に似ている。

役に合ってたのは、

疾病予防管理センター(CDC)の

エリス・チーヴァー博士を演じた

ローレンス・フィッシュバーンと、

フリー・ジャーナリストの

アラン・クラムウィディを

演じたジュード・ロウのふたりだけだ。

最後に感染経路が再現される。

この作品、潔癖症に方にはおススメしない。