パラダイス・キス
「僕の初恋をキミに捧ぐ」
などの作品で知られる新城毅彦監督が、
北川景子、向井理を主演に迎えて描く、
青春ラブストーリー。
まるで盆と正月とクリスマスが
一度に押し寄せたような
圧倒ゴージャスな世界観が、
乾いた心に美味しい作品と言えるだろう。
日本中の女性(自称も含めて)の
大半が胸躍らせる
スタイリッシュに加工された映像美、
多様な一流ブランド協力から
生まれた豪華ファッション、
女性が一度は憧れる
モデル業界の華やかさ、
そしてスクリーンにひたすら
映えるイケメン軍団。
女性の圧倒的な支持を集める漫画家、
矢沢あいの原作が持つ
無駄の無い物語展開と、
人物描写の的確さを土台に置き、
「夢」と「憧れ」、
この二つのキーワードの元に
集められた色鮮やかな素材を
これでもかとぶち込み、
丁寧に煮込んで仕上がった、
ド派手な贅沢空間が満ち溢れている。
日本版「セックス・アンド・ザ・シティ」の
ような「セレブリティに、凡人号泣!!
羨ましいぜ・・」
映画を目指したという意欲が
滲み出る演出だが、
若手のキャスト陣がその
金銀ギラギラ世界に対して、
対抗できる魅力、
輝きを打ち出さないままに
小さくまとまった印象が
強いのが非常に残念。
それでも、
「知的に素敵、されどもどこか可愛らしい」
最強セレブ坊ちゃまを、
向井が自らの持ち味そのままに、
素直に違和感無く演じ切る。
その力強いヒーロー像に引っ張られて、
全体の物語も野暮ったさを
拭い去る迫力と勢いをもって流れ、
ラストまで観客を飽きさせない。
文句をつけること自体ためらいを覚える程に、
「自信作なんです、
誰が何といおうとお金掛けてます。
嫌なら観るな!」
そんな声が作品から
聞こえてきそうな爆走俺サマ映画ともいえる本作。
しかし、
観賞後に残るは不思議と爽快な開放感と、
幸福感。
これぞ、
娯楽ど真ん中の良作として評価したい。









