パイレーツ・オブ・カリビアン
生命(いのち)の泉
ただ女優を集めただけの
「NINE」のロブ・マーシャルが監督に決まったとき以来、
新作は大丈夫か?という思いだった。
蓋を開けてみれば、ジョニー・デップも
ジェフリー・ラッシュも役を忘れていなかったし、
スタッフも何をすべきか解っている
パイレーツ組が出来上がっているから、
娯楽作品の王道を行く余裕の仕上がりだ。
安定感がある。
ILMによるVFXは相変わらず美しく、
3Dも誇張がなく自然で、
色調も落ち着いた画調に整えられている。
むしろ、
ロブ・マーシャルには実写の部分でもっと
意地を見せて欲しかった。
冒頭、
ケヴィン・マクナリー演じる
ジャックの片腕・ギブスが、
妙にこざっぱりした顔で登場して笑いを誘う。
ひとりツヤツヤしている。
憎まれ役バルボッサの国王ジョージ2世に対する
忠誠はなんのためか?
まさか後世が「英国王のスピーチ」を
手助けするためのコネ作りではあるまい。
バルボッサは指揮官として優れた判断力を垣間見せる。
過去3作に出てきたサルも妙なかたちで登場して元気なようだ。
テーマ曲を聴いて、
その作品を想起できる映画がほんとうに少なくなったが、
ハンス・ジマーによる音楽にはワクワクする。
“生命の泉”を追い求める
黒ひげと女海賊アンジェリカ。
18世紀、英国の敵国だったスペインはそんな
“まやかし”なぞには目もくれず、
金銀財宝にしか興味がないという揶揄の可笑しさ。
いい加減だが義を重んじ、
場当たり的な行動に見えながら機転が利くところが
ある我がキャプテン・ジャック・スパロウ。
彼らの世界では、オカルト的な噂は、
単なる噂ではなく事実となって次から次と襲ってくる。
この世界にどっぷり浸かる楽しさが堪らない。
まさに海賊版「レイダース」だ。
ペネロペ・クルスらしさが存分に
出ていないところは残念だったが、
ま、計算外?の妊娠では仕方あるまい。
次作に期待。
最後は、
実よりも名をとるジャックの粋な行動で締めくくる。
2作目「デッドマンズ・チェスト」や
3作目「ワールド・エンド」でのダラダラした構成が、
今回、一話完結にすることですっきりしてスピーディーになった。
わたしゃ、マネをする気はないが、
毎晩、指を開いた手が頭上を舞い、
脚はヨタヨタと、
帰り途はいつもジャック・スパロー状態だ。











































