せまるもの目の前に居る時はそれほど関心をひかなかった人が遠くへ行ってしまうとどんなに自分の中に多くをしめていたか空虚になってしまったその人影によって思い知らされるその人は自分の思いの中でだんだん育ってゆく葡萄の房を取ってくれた時泳ぎを教えくれた時果実をもいでくれた時の表情が生々として迫ってくる当たり前だった事が思い出になっると光るのださびしい星の様に光るのだ別れてからもう十数年にもなるのに日々新しくなってゆく思いの中で童の自分がたわむれている