火天の城
別に芸人が俳優をすることは
役にはまっていればいいと思うけど、
ディア・ドクターなんて
鶴瓶だからこその面白さがある
作品も最近ではありますし、
それでも今作の吉本芸人には?があります。
確かに緒方直人は
オーバーアクト気味で冷めてしまうし、
まだ可愛いから、
おっさんは許せてしまうけども、
福田沙紀も拙いかもしれない。
でも、何よりも遠藤章造はまだいいけど、
河本準一は作品世界から完全に浮いている。
対峙する場面はないが大河での
秀吉がいるのに、あの演技は、ない。
前からそういう力のある事務所の
捻じ込みはあったかもしれないが、
吉本が映画事業に乗り出してからの、
それは酷いもんだ。
それだけでなくこの作品はどこかちぐはぐ。
ほのかに示していたが、
突然のワイヤーアクションにはお口あんぐり状態。
建築場面の大規模なオープンセットも、
動きのないCGもそれなりにリアルではあるが、
動きのあるCGは酷いもんだ。
城を建てるというメインストーリーへ付随する
妻や娘のサブストーリーの組み立て方が、
描き方がホントに下手で、
大竹しのぶの静かな熱演が台無し。
建築場面でのクライマックスとなる
トラブルを乗り越える時のシーンでは、
そこまで拘るなら先にその拘りを
提示して欲しいというのもあるし、
サブストーリーもそれは同じで、
組み立て方が逆だろうと感じてしまう
シーンばかりの印象が残る。
宮大工という表舞台には出てこない
人物が主人公なので
淡々と描くならそれはそれでいいのかもしれなし、
そうすべきだと思うが、
無理に盛り上げようとして、
失敗しているなぁと思ってしまう。
拘りのある仕事振りをもっと魅せて欲しかった。
寸法を間違えてしまった材木で組みあがった歪で、
どこかちぐはぐな城のような作品。



