やり場のない

光景の中

浮かぶ舟は静かだ

揺れる事を恐れ

進む事も 戻る事もできず

凍りついている

舟底を舐める

蒼い悲しみに

掬い(すくい)きれない焦りが

胸元を這い上がる

手に負えない

虚しさの中で

浮かぶ舟は静かだ

笑顔も泣き顔もできず

仮面を付けている

舟底を舐める

蒼い悲しみは

汚泥を吸い上げ

舟を犯しはじめる
 
動かぬ舟の中で

捩じ伏せた

感情に掛けられたのは

舟を離れるための

白い布だった