どんなに胸を張っても

十センチも前に出ない

どんなに肩を張っても

五センチも広くならないのに

獣や鳥も

自分を大きく見せようとする時

せいいぱいそうして

相手をへこませたり

襲う事をあきらめさせたりするのだ

自分も喧嘩をする時

怒りにたけり狂う時

生まれたままの野性にかえる

それからたぎるものから覚めると

恥ずかしさに消え入る様に肩を落として

ひやりとした理性のおりの中で

いつまでもいつまでも後悔する

そして

心行くまで自分をののしって

痛め付け

開放されると

誰もいいとは言わないのに

いとも涼しげな声を出して

人の中へ

かえっていくのだ