お互いの心をよむように

さきほどの会話をひとつずつ思い返し

胸の中へ並べて見た

あの人は

どれほど自分のことを思っているのか

自分は

魚を料理する様に

すみずみで吟味し

うら返し

おもて返し

自分に向けられている

熱さの度合いをしろうとする

言葉にくっついている

しぐさや表情も思い返して見る

いま自分の中は

展覧会場

鮮明に並べられたそれらのもので

いっぱいなのだ

そして自分は

自分にむけられた言葉だけを

骨のように

たんねんに

拾い上げている