街中を歩いて居ると

雑踏の中から湧いて出たように

友達が自分の前に現れた

後も前も右も左も

みんな人が流れていて

街は何のようである

自分達ふたりは杭の様に立ち止まって

話をした

何時来たのと 友達

ずっと以前から来ていて

見なれた街の様でもあり

いつ来たのだろう首をかしげて考え

自分は数十年前この世に来て

いのちの切り口の様に今ここに立ち

友達はいつからか自分の心の中へ入りこんで

以来二人で一人と思えるほど親しくなった

杭になっている自分達を置いたまま

人はとうとうと流れている

それから

流れを斜めに横切って

二階にある喫茶店を見上げながら

自分達は岸へたどりついた兎の様に

穴の様な暗い階段を上がっている