あそこでは

この顔は死ぬほど笑った

この眼はきらきらと輝いて

この鼻は軽い息をし

この口は絶えず爽やかな言葉を吐いた

あそこでは

挨拶を間違えて

真っ赤になった

この目は涙を流し

この鼻は鼻水をたらし

口はもれる言葉をかみころした

いま

なんの曇りもない心を

鏡がとらえている爽やかなこの顔は

また

次の瞬間

どんな喜びに紅潮するのか

どんな憤怒(ふんど)にいきりたつのか

それは未知の闇へ投げ出されて

突き当たった事像の中で

時に暗く時に明るく
 
微妙に燃える

神秘の火だ