どんな所に逃げ込もうとも

張り巡らされた時の網目から

逃げるすべはない

悠々と口笛を吹いてすごす人も

無駄口やおあいそ笑いにすごむ人も

いつも口元に崇高な微笑をたたえて

奥深い

真理のために身をささげて暮す人も

一様に

同じ時の中に置かれ

時は秒毎に生きている時間を削っている

人は削られながら

生きている地歩を

固めていると言う確信を深め

ゆるぎない地位

ゆるぎない暮らしを追って余念がない

けれども時は

鋭い刃物で休む暇もなく

誰の時間も削りとり

人がゆるぎないと思うとき

時も

しっかり削りとって

人の思いとは別に

いっさいは終わる