ひもじくなると餌を求め

たいくつすると遊泳した

岩の下陰

水のまたたき

藻草ののかげの甘い時間

平隠の中でのんびりとしていた日々

不意に食いついた餌と一緒に

水の中から引き上げられるまでは

生きていたなどと思っても見なかった

引き上げられた瞬間

魚は

ぐらぐらとおし寄せる恐怖の中で

あの海の中の

一こま一こま

身の上を鮮烈に走るのを見た

そして

生きていることの不思議な充実と

痛みに

けいれんしながら

短すぎる

生そのものの中で

静かに

硬直していった