出会いそれは向こうから来た

思いがけないときひょこり

現れる客のように

活字の中で偶然出会った言葉が

自分を進路を決めた

災難それも向こうから来た

愛する人を死が一瞬に奪った

時間をきられてのっぴきならず

東と西へお互い別れた

不運それも向こうから来た

世にあふれひしめくもので

もがいてももがいてもおしつぶされ

浮かび上がらない

何ひとつ

あらかじめわかっていて

この身に迎えたものはない

いま在って自分の死さえも予期できない

努力はすることができるけれども

幸運の女神が現れるか

貧相な顔をした不運が顔を出すか

賭博師がトランプの札をめくる時よりもっと

予想しがたい

けれども人は

いつも向こうから来るものに期待をかけ

夢をたくし

自分の力の上に

幻の虹をかけて歩いている