かかわらなければ

この愛しさを知るべきはなかった

この親しさは湧かなかった

この大らかな依存の安らいは得られなかった

この甘い思いや

さびしい思いも知らなかった

人はかかわることから

さまざまな思いを知る

子は親とかかわり

親は子とかかわることによって

恋も友情も

かかわることから始まって

かかわったが故に起こる

幸や不幸を

積み重ねて大きくなり

繰り返すことで磨かれ

そして人は

人の間で思いを削り思いをふくらませ

生き綴る

ああ

何億の人がいるようとも

かかわらなければ路傍の人

自分の胸の泉に

枯れ葉いちまいも

落としてはくらない