夜は最も聞く

甘いかるやかな静けさを

身をひたす

柔らかい闇のくちづけを

のびやかにひとりである

ほのぼのとした安らいと希望

がんじがらめの

音の世界に閉じ込められた

昼から

すっぽり抜けて

自由に聞きたい言葉だけを再生する

耳底の楽しい記憶を

灯りを消したベットに横たわった

こんなにも多くを聞いているこの夜

なにかしら満ち足り

はがれてゆく疲れの中から

もぎたての果実のように

水々しさが帰ってくる

そして自分は

豊かに聞こえるものの中で

華に埋まる

死体の様に