どこにも

証するすべのない

うすい一枚の皮膚におおわらた

このあたたかいもの

生命をすっぱと切る

鮮やかな血が流れる

赤血球の中の疲れた昨日や

白血球の中のいじらしい明日が

切られた入れたものの中で

したたる今日

もりあがる肉あふれる愛

もえる恋うつむく憎悪

かわいた怒りひかる真実

すべての中味が

熟れすぎた果実の様にはじける

生命をすぱっと切ると

とざされた重い口はひらかれ

充分に生き得なかった昨日の死と

死よりも遠いものを語ろうとする

何かが目覚める

ああ

生命は

葉を落とした木のように静かで

切ったとき

切り口から

いつも生き始める