降りかかる雨にぬれて

冷たいしずくをこぼしていた石

雪が降って

雪の下で

忘れられたように

ひっそりと埋もれていた石

雪が溶けると

そろそろ顔を出し

黙って存在を示した石

いつからそこにあったのか

そこも道を通る人も

気付いたり

気付かなかったりするほどの

目立たない石だ

でも

石は

遠い歴史を超え

自然のかくごをこえて在りつづけた

いま

不信にただれた自分の

じゃくまくとした冬のうす陽の中で

石よ

おまえは

静かに乾いた肌を

さらしてころがってる

ああ

ものいわぬものの親しさよ

両手でそおっとかこって

頬をすり寄せたくなるような

はるかな慕情をただよわせて

おまえは自分を立ち止まらせるのだ

悲しい時は

なに気なく現れ

かわらない友ぎを示す友のように

自分を支えるもの

孤独の外形のやさしさよ

大地の石よ