死よ

しのびやかに自分に寄り添う死よ

生が嘘無の氷原であるとき

おまえはクレパス

静かに青いおまえの存在が

氷原に立たされた自分の

すぐそばに在るので

自分は生きていることを

意識することができる

おおしのびやかに自分に寄り添う死よ

燐光(りんこう)のクレパスよ

生のすぐそばにおまえが在るので

自分は生きている自由を覚える

いつでも自分はお前の中に

入って行くことができるので

おまえは自分のために

柔らかい安息所だ

でも自分は

おまえのそばでおまえを眺めていることの

出来るときのみ

限りない安心感を覚えるのだ

なぜなら自分は

おまえの中におまえを失うことを恐れるから

おまえは自分のあこあれ

自分の自由だから