ざせつではない

階段なのだ

自分がてらしたのは

この世のくらしにおごる人ではない

完璧な貴女だ

ざせつしたのではない

いまは貴女へのきざはしにひれふして

きびしくむち打たる試練の時なのだ

人は笑う

自分の生の不器用さを

でもやっぱり挫折したのではない

貴女によって不器用になれる自分を

愛せるのだから

手をかして下さい

十字架の上で貴女が

父なる神をお呼びになった様に

いま自分も

貴女を呼んで居るのです

この世の事を捨て切れない自分は

貴女にてらしてなんと弱く

なんと小さいのでしょう

でもやっぱりざせつしたのではない

貴女にてらすときだけ

自分はみにくくおろかです

その寛大な愛にてらす故

その清らかな美にうれる故

おおそれは

一段高い貴女へのきざはしに

手をかけた

自分の貧しい誕生だす