裸木のコズエに秋がトガル

風がとがる

目にとがる

人の視線がトガル

言葉がとがる

動作がとがる

海の平面に虚無(きょむ)がトガル

秋の移行に悲しみがトガル

雑踏の中に孤独がトガル

とがるトガル尖る

自分のとがった心に突き刺さる

トガルもの達

ああ

どこかに陽だまりのような

寛容(かんよう)さはないものか

ゆるやかな坂のような

優しさはないものか

自分は

トガルもの達の

トガル位置にぶつかりながら

少しずつ小さく

少しずつまるく

危険な完璧さに近づきつつある