考えながら歩いていると躓いた

振り返るとそれには石だった

自分の足は生爪を剥しどす

黒い自我の血をしたたれしていた

石石

石原の石 道端の石 山の石

人間の中の石頭

石は無骨だ愚鈍だ

意味を持たない鈍重さでどこにでも

ころがっている

だが躓いたとき

石は我然はんぱつの意味表示をするのだ

石の中からは出そうとする自分を

自分があざげ笑するのだ

そして

そこらじゅうの石達が言うのだ

あの高慢ちきな女の鼻を折ってやろうと

自分はその厳しさに

そおっと鼻をなでてみた