かつては

なんの物音もない

うすずみ色の

明け方の部屋の中で

目をさましたまま

ひんやりといる

物はただ在り

広すぎる空間

かつては

この心の空間は

手にあまる夢や

貴女にまつわる美しい幻で

膨張していた

そして自分の心は

その手ごたえある

膨張感の中で

はじけそうだった

けれども

今はまだ

そこは恐しい無

受けとめるもののない無の中で

しぼんだ

ゴム風船の様に

自分はただ

長くのびている