瞳の奥に

貴女の視線を

とらえたと想ったのは錯覚だったのか

見つめなおすと

ただ

ぼうぼうとしたままあらぬ方を眺めている

貴女はここにいて

まだ自分のものではない

なんどもなんども

捕まえたと想ったら

ふっと隠れこむ不安な距離

自分の

孤独なこころみははくりくり返す

貴女の瞳の奥に

自分に発せられる

熱い視線が息づいていることを

期待しながら

けれども

ついに

ひとつの機会はすぎようとしている

そして自分は

貴女を確かめ得ぬ空しさの中を

暗い風の様なものがなだれるのを

息をひそめて見つめている