本日は、N.ampullaria Redlip Ito×(rowanae×ampullaria)の交配‐その5について紹介します。

①交配番号 :NO.91
②交配親  :N.ampullaria Redlip Ito[♀]×(rowanae×ampullaria)[♂]
③交配日  :2021年10月8日
④採取日  :2022年4月3日
⑤播種日  :2022年4月14日
⑥発芽確認日:2022年5月11日

種子親のN.ampullariaは、Borneo島、Maluku諸島,New Guinea島,Malaysia,

Singapore,Sumatra島,Thailandの標高0~2000m程度の地域にかけて自生しており。1835年に記載された品種です。本種は他の品種と異なり地際から沢山のグランドと呼ばれる葉身の殆ど無い捕虫嚢を地面に敷き詰めます。徒長枝の葉身には殆ど着袋しませんが、老成した茎の節々から空中コロニーを形成する個体も多く、とてもユニークな植生をしています。これがその人気になっている理由ではないでしょうか。
又、個体差が大きく非常にバラエティーに富んでいる品種でもあります。特にイリアンジャヤ産の個体はお化けみたいに馬鹿でかい捕虫嚢を着けるものもある様です。
本交配の種子親は2020年11月に、何時もお世話になっている伊藤氏より分譲していただいたものです。ある程度老熟してきた茎から空中コロニーも展開してきてい
る様で、中々良い感じの個体と思われます。
一方花粉親のN.rowanae×ampullariaの種子親であるN.rowanaeは、オーストラリアの固有種で、ヨーク岬半島、クイーンズランド、サマーセットの低地に自生する低地性種です。従来はN.mirabilisとされていましたが、葉身の形態、蔓の付き方、翼、葉の質感等の特長が異なることから、2005年に一つの種として昇格しました。種小名は、オーストラリアの博物学者、植物イラストレーターであるEllis Rowan氏に因みます。
以上の品種の交配になります。N.rowanae×ampullariaのリップが更に赤くなることを期待していますが、果たしてどうなるでしょうか。
結実自体は良く無く40%弱でした。唯、発芽は1カ月程度で早かった様に思います。2022年秋にはセルトレイに上げる事ができればと思っていましたが、完全に失念しておりほったらかし状態でしたm(_ _"m)。その後セルセルトレイを確認したら4個体のみか細く生き残っていました。慌ててビニールポットに上げましたが、果たしてどんな生長をしてくれるでしょうか。何とか生き残って生長して欲しいものです。
2024年春頃になってNO-4個体の最新の捕虫嚢がリップのみ赤く染まってきました。何となく形質固定している様に思います。もう暫く経過観察といきましょうか。下段写真左から、

1.左端が種子親のN.ampullaria Redlip Itoで、リップのみ赤く色付くタイ
  プで、グラウンド及び空中コロニーは発生し易い様である
2.真中が花粉親であるN.rowanae×ampullaria。N.ampullariaを一回り大き
  くした感じで、生長も早く良く着袋する品種である
3.右端が蒴果と種子。結実は悪く概ね40%弱といったところか

1.こちらから三枚は2022年5月11日に撮ったもので、こちらは播種鉢
  内の様子で、既に発芽しており双葉が確認できる
2.こちらは別の実生苗
3.一寸小さくて判り辛いが、2つの種子で同時に発芽が始まった。最初は種
  実の中央部から背虫の様に丸い塊が現れる。これ以降双葉が展開する。今
  後更なる発芽に期待したいところだ

1.2022年8月6日、この時点での播種鉢内の様子。発芽率はあまり良く
  ない様だ
2.2022年8月24日、10個体をセルトレイに上げたところ。一寸小さ
  いが何とか数個体は生き残って欲しいものだ
3.2022年10月22日、状態はイマイチだが何とか生長してきている様
  で一寸ε-(´∀`*)ホッ

1.こちらから四枚は2022年12月10日に撮ったもので、こちらはセル
  トレイ内の実生個体の様子。状態は悪い様で左下から二番目の個体は逝っ
  てしまいそうだ
2.こちらは左列一番上の個体。ぼちぼちビニールポットに上げようかな
3.左写真の個体の一つ下の個体。こちらも何とかぼちぼちって感じだね
4.右列一番下の個体。大して変わりようはなさそうだ。これから気温は低下
  していくばかりだが、この3個体は近々ビニールポットに上げようと思う

1.こちらから三枚は2023年10月12日に撮ったもので、こちらはセル
  トレイの様子。ずっとほったらかし状態だったため4個体のみしか生き残
  っていなかった(ノД`)・゜・。
2.最新の捕虫嚢の様子。未だ海のものとも山のものとも(;^ω^)
3.別の個体に着いた捕虫嚢の様子。こちらは既にリップが少し赤く色付いて
  いるよ~(*^^*)。hotlip風になるのだろうか

1.こちらから四枚は2023年10月13日に撮ったもの。早速鉢上げする
  ことにした。4個体残った内の1個体の根鉢を外したところ。多少の根は
  確認できる
2.2号ビニールポットに鉢上げしたところ。何とか無事に育って欲しいもの
  である
3.別の1個体の根鉢を外したところ。ミズゴケの劣化が激しく根は殆ど確認
  できない
4.2号ビニールポットに鉢上げしたところ。根部と同様地上部の生長も悪い

1.こちらから四枚は2023年10月13日に撮ったもの。こちらは別の1
  個体の根鉢を外したところ。僅かに根は確認できる
2.2号ビニールポットに鉢上げしたところ。根部の状態はさほど良くないが
  地上部はこれが一番いい感じだ(*^^*)
3.更に別の1個体の根鉢を外したところ。多少の根が確認できる程度だろう
  か
4.2号ビニールポットに鉢上げしたところ。根部と状態と同様地上部の生長
  もイマイチだ。何とか鉢上げできたので、これからの生長に期待したいも
  のだ

1.こちらから六枚は2024年4月3日に撮ったもので、こちらから三枚は
  NO-1個体として管理する。生長は若干遅めだが何とかって感じだろうか
2.NO-1個体に着いた最新の捕虫嚢。現時点ではN.rowanae×ampullariaに似て
  いるだろうか
3.左写真の捕虫嚢の次に生長してきた最新の捕虫嚢の赤ちゃん。もう少しし
  たら完成しそうである
4.こちらから三枚はNO-2個体。こちらは現在の株姿だがNO-1個体より若干小
  さめの様だ
5.NO-2個体に着いた一つ前の捕虫嚢。未だ小さく色合いも無い様だ
6.左写真の捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。全体的に白っぽい感じ

1.こちらから六枚は2024年4月3日に撮ったもので、こちらから三枚は
  NO-3個体として管理する。4個体の内一番生長が捗々しくない感じだ
2.NO-3個体に着いた最新の捕虫嚢。若干N.rowanae×ampullariaに似ている?
3.左写真の捕虫嚢の次に生長してきた最新の捕虫嚢の赤ちゃん。こちらもも
  う少しで完成しそう
4.こちらから三枚はNO-4個体。こちらは現在の株姿だが4個体の内では一番
  生長が良い様である(*^。^*)
5.こちらはNO-4個体に着いた最新の捕虫嚢。いきなりリップが真っ赤に染ま
  った。一つ前の捕虫嚢迄は他の個体と同様全く色合いは載っていなかった
  が…。この形質が固定してくれれば良いな(*^^*)
6.左写真の捕虫嚢の次に生長してきた最新の捕虫嚢の赤ちゃん。こちらも間
  もなく完成するだろう

1.こちらから六枚は本日2024年10月3日に撮ったもので、こちらから
  三枚はNO-1個体でこちらは現在の株姿。生長は若干遅めだが多少は大きく
  なってきているだろうか
2.NO-1個体に着いた一つ前の捕虫嚢。現時点ではN.rowanae×ampullariaに似
  ているかな。翼と蓋のエッヂ部が僅かに赤くなっている
3.左写真の捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。良く見ると嚢表面も僅かだが
  色付いている様である
4.こちらから三枚はNO-2個体で、こちらは現在の株姿。四個体の内では一番
  出来が悪い様である(;^ω^)
5.NO-2個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらは蓋のエッヂ部分のみ若干色が載
  っている
6.左写真の捕虫嚢の次に出来つつある最新の捕虫嚢の赤ちゃん。間もなく完
  成しそうである

1.こちらから六枚は本日2024年10月3日に撮ったもので、こちらから
  三枚はNO-3個体。最新の葉身が少しリーフジャンプしてきたようで今後の
  生長に期待できるかも(*^^*)
2.NO-3個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらも翼と蓋のエッヂ部が少し赤く染
  まっている
3.左写真の捕虫嚢の次に生長してきた最新の捕虫嚢の赤ちゃん。完成までも
  う少し掛りそう
4.こちらから三枚はNO-4個体。こちらは現在の株姿で最新の葉身がリーフジ
  ャンプぎみの様だ
5.左写真の個体に着いた最新の捕虫嚢。hotlipの様にリップが赤く染まる個
  体で種子親の遺伝形質が表れている様だ
6.左写真の捕虫嚢の次に出来つつある捕虫嚢の赤ちゃん。僅かに蓋が開き始
  めた様で、既にリップ部分が赤く染まっている

 

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