本日は、N.smilesii×viking var boatform ×sib(Red系)の交配‐その6について
紹介します。

①交配番号 :NO.20
②交配親  :N.smilesii[♀]×viking var boatform ×sib(Red系)[♂]
③交配日  :2013年9月10日
④採取日  :2013年12月2日
⑤播種日  :2013年12月2日
⑥発芽確認日:2014年4月16日

種子親のN.smilesiiは、東南アジアの大陸部(タイ東北部、ラオス南部、カンボジア 、ベトナム西部等)の開けた砂質の草原やサバンナなどに自生し、乾季に耐えることが出来る種で、塊根性で牛蒡根が生えています。従って、乾燥が過ぎると地上部を全て枯らし、根部だけで暫く耐え抜く事が出来る品種です。或る程度ロゼット葉が展開した後、N.tobaicaの様に急激に徒長しますが、2m程度伸長すると力尽き、自然に地際の腋芽に更新されていきます。唯、状態が良いと腋芽が複数発生しブッシュ状になり、沢山の補虫嚢が付き見応えがアップする様です。
一方花粉親のN.viking var boatform ×sib(Red系)は、boatform同士のsib-crossで、ぷりんさんが作出されたものです。赤みの強い個体で、特に耐暑性があり、非常に着袋し易く、根部の発達が良く、腋芽もどんどん出て株立ちになります。特に陽を好みますので、十分な日照と水、気温があればバンバン成長し鈴なりに着袋してくれる品種です。
この両親は何れもN.mirabilis系で塊根性の品種ですので、交配コンセプトとして当然の如く非常に根張りよく、暑さ寒さに強く、腋芽も発生し易く良く着袋する子ができてくれるものとの超贅沢な思いから交配してみました。唯、この種子は思った以上に発芽が遅く、4.5ケ月程度要しました。発芽には特に高温を必要とする種子なのかもしれません。唯、その後の生長は中々良い感じです。
発芽してやっと2.5年経過しました。現在3株手元に残して生長過程を観察していますが、何れの株も既に徒長しており、腋芽も発生し生長してきています。雰囲気的には種子親のN.smilesiiに似ている子が多かった様に思います。今夏この3個体共開花しました。NO-1個体とNO-3個体が雄株、NO-2個体が雌株でした。NO-2個体とNO-3個体が同時に開花しましたので、一寸sibってみましたが、果たしてどうなるでしょうか。今のところ少しずつですが鞘が生長している様です。
N.smilesiiを種子親とした他の品種も育種していますが、他の実生よりも概ね生長は早い様です。下段写真左から、

1.種子親のN.smilesii、N.vikingと同様塊根性で、地際からシュートを良く発
  生させる。鈴なりになると見応えがある強健種
2.こちらはぷりんさんが作出されたboatform同士のsib-crossで、赤みの強い
  個体。大変耐暑性があり、非常に育てやすく、良く着袋してくれる品種
3.蒴果と種子。この種子親から出来る種子は種の両端のひげ(種髪)が殆ど無
  いのが特徴。種実もあまり膨らんでいる雰囲気はなく、本当に発芽する?っ
  て感じだが、果たしてどうなるだろうか
4.発芽確認から1ヶ月弱経過した2014年5月13日に撮ったもので、概ね
  発芽してくれた。「しいな」では?と思っていたが、杞憂に過ぎなかった
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1.2014年6月12日、本葉がボチボチ展開してきたので、早いがセルトレ
  イ(2.5×2.5cm)に植替えした状態。これ位の大きさで植替えした
  方が楽チン
2.セルトレイに植え替えて約3ヶ月経過した2014年9月16日に撮ったも
  の。他の実生と比べ結構成長が早い感じで、すくすくと育ってくれている感
  じ。思い立ったが吉日で、早速ビニールポットへ植替えを実施する事にした
3.同9月16日に撮ったもので、ビニールポットへ植替えした様子
4.2015年3月18日に撮ったもの。最近になって漸く蔓が出てきた様で、
  葉身と嚢が分離し始めた。冬場気温が低かったので生長がトロイ状態だった
  が、これから気温が上昇してくるので、ググッと生長速度を速めてくれるも
  のと思う
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1.2015年5月5日、ビニールポットから縦長ブラ鉢に植替えした最初の個
  体(NO1個体)
2.2015年7月10日、NO1個体のその後。徐々に大きめの葉身が展開し
  てきた。強光線にもやっと慣れてきた感じ
3.こちらは2015年9月9日に撮ったNO1個体。更に大きめの葉身が展開
  中で、生長は良い感じ
4.こちらから二枚は2016年4月5日に撮ったもので、こちらはその後の株
  姿。一寸判り辛いが、徒長が始まった感じ
5.株元の様子。オォ~\(◎o◎)/!腋芽が三芽程発生してきている
6.2015年6月17日、NO1個体の嚢で、割と色合いは濃い感じ
7.2015年9月9日に撮ったもので、こちらはNO1個体の嚢。最初の頃に
  比べ色合いは薄くなった。色合い形共に両親の中間的な感じ
8.2016年4月5日に撮ったもの。何や、そのままN.smilesiiやん(⌒∇⌒)
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1.2015年6月17日、ビニールポットから縦長ブラ鉢に植替えした二番目
  の個体(NO2個体)
2.こちらは2015年9月9日に撮ったNO2個体のその後。更に大きめの葉
  身が展開中。新葉はやや赤味がある
3.こちらから二枚は2016年4月5日に撮ったもので、こちらはその後の株
  姿
4.このNO2の個体も株元から腋芽が二芽発生してきているぞ~
5.2016年6月23日、NO2個体の嚢で色合いは薄め。こちらの個体もそ
  のまんまN.smilesiiですわ
6.2015年9月9日、こちらもNO2個体の嚢で、こちらはやや色合いが濃
  くなった
7.2016年4月5日に撮ったもの。日照等の条件によっては嚢が真っ赤で、
  襟元がグリーンのコントラストを見せてくれる
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1.2015年7月3日、ビニールポットから縦長ブラ鉢に植替えした三番目の
  個体(NO3個体)
2.こちらは2015年9月9日に撮ったNO3個体のその後。この株のみ温室
  内で育てているが、戸外栽培のNO1、2個体と比べ節間もだら~っとして
  大分ひ弱な感じ、本種は強光線の方が良さそう
3.このNO3個体が一番後に鉢増ししたものだが、やや日陰寄りの場所で管理
  していたせいか、大分間延びして徒長してきている
4.このNO3個体も株元から3芽程腋芽が発生してきている。一寸判り辛いが
  両親の特徴がはっきり見て取れる塊根。塊根のあちこちから腋芽が発生して
  きているのが判る。それに根張りもとても良く、表土に根が沢山出てきてい
  る状態。判り辛くて(o_ _)o))
5.2015年7月3日、NO3個体の嚢で、NO1、2個体の中間的な色合い
6.NO3個体の嚢。温室内で管理しており、この嚢ができた場所は鉢の北側陰
  になっている所。N.vikingと同形質なのかもしれない。それにしても良い感
  じの色合いになった。何れの個体にしてももう少し大きくならないと形質は
  固定しないのかもしれない。まあ、腋芽のロアーに期待したいところ
7.2016年7月10日、NO-3個体のその後の株姿。大分徒長してきており、
  既に雄花が開花し始めている
8.2016年7月30日、NO-3個体の腋芽の様子。3~4芽程発生している
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1.こちらから二枚は2016年5月24日に撮ったもので、こちらはNO-1個体
  (雄株)に出来たロアー辺りの嚢
2.こちらも同様NO-1個体(雄株)に出来たロアーだが、鉢の陰に隠れて結構色
  付いている。NO-2個体とNO-3個体の中間辺りってとこだろうか。唯、本種は
  さほど個体差は無く、全て同じように見える(*'▽')
3.2016年5月26日、こちらはNO-3個体(雄株)に出来たミドル辺りの嚢
4.2016年7月17日、こちらもNO-3個体(雄株)に出来たミドル辺りの嚢
  本種の特徴として、特に本個体は襟が後方に反り返ることが少なく、トラン
  ペットの様に、一寸だけ古い言い方をするとエリマキトカゲ風になるのが良
  い感じ
5.2016年7月28日、NO-2個体(雌株)に出来たややロアー辺りの嚢で、
  ちょいポチャって感じ
6.2016年8月27日、左がNO-1個体(雄株)の嚢で右がNO-2個体(雌株)
  の嚢。ラベルを確認しないとどっちがどっちか全然判らん
7.こちらから二枚は今朝2016年10月6日に撮ったもので、こちらは左が
  NO-1個体(雄株)の嚢で右がNO-2個体(雌株)の嚢
8.こちらは別の嚢だが、同様に左がNO-1個体(雄株)の嚢で、右がNO-2個体
  (雌株)の嚢
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1.こちらはNO-2個体(雌株)に出来たややロアー辺りの嚢
2.2016年9月8日に撮ったもので、左写真のNO-2個体に咲いた雌花
3.こちらはNO-3個体のミドル~ややアッパー寄りの嚢で、特にこの個体は襟が
  後方に反り返らない感じ
4.こちらは左写真のNO-3個体に咲いた雄花
5.こちらは今朝2016年10月6日に撮ったもので、このNO-2個体(雌株)
  とNO-3個体(雄株)を交配し、徐々に鞘が膨らんできている様子。どちらか
  というと鞘の形状は種子親のN.smilesiiに似ている。果たして無事に結実す
  るだろうか
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