男は田舎の港町で生まれた。
既に兄がおり、母親からは女の子を望まれていた。
だが生まれたのは男。
「女の子が良かった。」それを知ったのは随分歳を取ってからだったが、男は母親に懐いていた。
特に幼い頃は望まれなかったにしろ、蔑ろにされることも無く育つ事は出来た。
おぶられた記憶もある。
手を繋ぎ歩いた記憶もある。
何か写真を撮ったこともあった。
誕生日も祝ってもらった。
しばらくして妹が生まれるが変わる事はなかった。
だが、いまでは男があることを切っ掛けに母親を拒絶する様になる。
何故母は道を誤ったのか?
今でも分からない。
自己肯定欲を満たしたかったのか?
男がそうであるように母親もそうだったのでは?
親子で血が繋がりが恐らくあるであろう事から男はそう考える。
似た物親子。
母親に問いかけても応えはない。
できるハズもない。
