期待通り、翌日の金曜日、その女性からのメールが届いた。

昼食を終えてデスクで昼寝している間にメールが届いていたらしい。
始めて見るそのアドレスは難解で、何を意味しているのか全く理解できなかった。

今晩会えないかという内容だった。

週末ということもあり、夕方に上司から飲みの誘いがあったが、先約があると断り、仕事は早々に切り上げて表参道へ向かった。
待ち合わせ場所のみずほ銀行前には、約束の時間の15分前に着いた。
昨日会ったばかりにも関わらず、私は女性の顔を明確には思い出せなかった。

約束の時間を3分程過ぎて、女性は地下鉄の出口から現れた。
何とか顔を確認できる程の距離で見る女性の顔を見て、出会った時に感じた、生理的な嫌悪感がよぎった。
だが、近づいて照れ臭そうに微笑んだその顔は、やはり美しく、嫌悪感の微塵もなかった。


これまでは、どちらかというと清楚なイメージの服装だったが、今日は身体のラインがコンシャスされ、胸が開いた黒いシャツとストレッチのパンツだった。並んで歩いていると、数人の男達が、その女性の胸元を盗み見ながらすれ違った。

10分程歩き、純和風な外観の小綺麗な居酒屋に入った。
魚を焼く大きな囲炉裏がある、落ち着いた店内の中央付近に案内され、向かい合って座った。

女性は豆腐や野菜ばかり注文し、あまり食べなかった。

時折、女性は胸の谷間が私に見える様に、上体を前に屈める仕草をしたり、トイレに立って戻ってくる時、私の隣で立ち止まり、身体を私に寄せて上から見下ろしながらにっこり笑ったりした。
女性の武器を使い、誘惑することを楽しんでいる様だ。
私は、その誘惑を茶化すことなく、私も楽しんだ。


1時間程経ち、料理を沢山残したまま、どちらかが言ったわけでもなく、お互いに店を出ることに合意していた。

アルコールは少ししか入っていないにも関わらず、お互い酔っていた。

電車に乗るのが億劫で、タクシーを泊めて道玄坂へ向かった。