連絡先を聞くのを忘れたことに対し、意外と動揺は無かった。
所詮、出合い頭の出来事。
相手にはパートナーもいることだし。


・・・私には、付き合って8年になる彼女がいた。付き合う前の期間も含めると、10年以上の付き合いになる。
共通の友人もたくさんいて、お互いの親にも会ったことがある。
年齢的にも、結婚がとても自然な流れではあったが、お互い、カタチにはこだわっていなかった。
いや、彼女はこだわっていたのかもしれないが、常に私の考えを尊重してくれた。

もはや、私は彼女のことを、大切なかけがえの無いひとつの個人として見ていた。
裏を返せば、女性としては見ていなかった。
もともと、彼女の容姿をはじめとする女性的な部分に惹かれた訳では無かった様に思う。
曖昧だが、何か絶対的なモノに惹かれた様に思う。
昔ある女性に、相手の何がどうして好きなのかということを、ハッキリと言えることが重要だと言われたことがあった。
もともと右脳依存の感覚重視である私は、その言葉の意味をよく理解しようとはしなかった。
重要なのは感覚的な部分で、言葉に出来ないこと程本物だと考え、そして自分の感覚に自信を持っていた。