さっき電車で帰ってくる時、結構混んでたのね。
で、奥へ奥へと押されていって、反対側のドア脇まで来て
ホロ酔い加減でイイ塩梅のオジサンの前になっちゃったのよ。
キチンとした身なりで、着てるコートも安っぽくない感じ。
でも、だいぶご機嫌でニコニコしながらブツブツ言ってんの。

ボクはねぇ、今年で63になるけど、まだ仕事させてもらってる。
コレはすごく幸せなコトだと思うんだよね。
ボクぐらいの歳で、すでに仕事を引退して悠々自適って人もいる。
働かなくてもいいから、それが幸せっていうコトもある。
その人にはその人の幸せがあるし、ボクにはボクの幸せがある。
どっちがホントの幸せかなんて、誰にも決められないんだよ。

ボソボソと、でもニコニコしながらそんなコトを言ってるの。
まぁ、こんなにハッキリしゃべってるワケじゃないけど
ほぼこんな口調で、オレの前で揺れてんの。

ボクの頃は大学に行くなんて、ホントに少なかったんだよ。
ボクはありがたいコトに行かせてもらえたんだよねぇ。
行きたかった人もいっぱいいただろうけど、
当時の日本の経済状況じゃ、行けない人の方が多かったんだ。
大学に行かせてもらえたボクは幸せだったんだねぇ。

別に聞きたくて聞いてるワケじゃないけど、自然に耳に入る。
周りから見たら、多分そのオジサンがオレに話してるように
見えるくらいの、そんな距離と声の大きさだったのね。

選択肢があるってコトが幸せってコトじゃないかなぁ?
働きたいけど働けない。勉強したいけど勉強できない。
そんな人、いっぱいいるでしょ?
なにかをしたいけど、経済的な理由とかでそれができない。
そういうのが不幸せって言うんだとボクは思うねぇ。

オジサン、もう目ぇ開いてないの。半分寝てるの。
でも言ってるコトは正しいなぁって、オレ思った。
今の中東の状況を考えたら、ナニをやるにしても選択肢がない。
経済的にも物理的にも、様々な制約が発生してるからね。
ただ毎日を生き延びるっていう選択肢しかないワケだから。
でも、今の日本はそんなコトないもんな。
毎日毎日イヤだイヤだって生活するなら、他のコトすりゃイイ。
そういう選択肢があるんだから。

満員電車の酔っ払いのオジサンに元気をもらったTARでした。