四つん這いのままの彼を見上げて、2、3分が過ぎただろうか、、

  ようやく彼が再び動きだし、なんとか岩の上に移った。

  とにかく、オレも登るしかねえか、、

  岩にはでっぱりがないので、落葉に埋もれた急斜面を

  登っていくしかない、、

 

  とにかく、葉っぱはよくすべる、サラサラの粉雪のように。

  葉っぱの下には砂のような乾いた土があるだけだ。

  この土も砂丘のようによくすべる。

  上体を引き上げるには、何かにつかまらなくっちゃ、、

  葉っぱの下に隠れた太い根っこに手をかけて、なんとか這い上がる。

  彼のところまであと1mというところまで登ってきた。

  そのときだ、ズズーッと両足がすべった、叫び声をあげて両腕だけでぶらさがる。

  心臓が飛び出しそうだんべ、、

  足先で土のなかに蹴りを入れて、足場をつくりなんとか態勢を整えるが、、

 

  岩の上に行こうと思うが、やはり手がかりがない。

  彼が手を差し伸べるが、へたすりゃいっしょに落っこちる、、

  岩にある小さな割れ目に右手を入れてみると、

  うまい具合にすっぽり入った。

  割れ目に手を入れるのは得意だかんな、、

  ようやく岩の上に出たが、ドッと疲れた。

  自然は人工的なボルダリングとはまるっきり違う、と実感する。