暗い杉林のなかを歩いていると、

ウワッ!という叫び声が後ろから聞こえた。クマ?

振り返ると相棒が座り込んで右のすねを押さえていた。

オレが踏んだ倒木が回転して、その枝が彼のスネを一撃したようだ。

彼はうずくまって、顔をゆがませている。

弁慶の泣き所だ、痛えべな、、

とにかく、Sorry、と言っておく。

 

8:46A.M.

見晴らしのいいV字谷に出る。一瞬、墓場か、と思った。

シカに食われないように、防護ネットがかけられていたのだ。

植林した苗木をおおう白い袋が墓標のように見える。