11:30A.M.

55.7キロにある給水所を通過して、今市から鬼怒川へ向かう道路の歩道

を走っている。この道も車でよく通るところだ。業界の新年会も

鬼怒川温泉だし、、。

膝の痛みを相棒に走っているが、たまにあるアップダウンがきつい。

最後の給水所がオレのゴールになるだろうが、視界にはそれらしきものが

見えない。

 

11:48A.M.

左に曲がると、ちょっと小高いところに白いテントのようなものが見えた。

あれが給水所らしいぞ。

 

11:50A.M.

上り坂を上がって、61.6キロの給水所に着くと、力士のような体格の女性が

柄杓でポリバケツから汲んだ水を豪快にランナーの頭へぶっかけていた。

そのスタッフ女性に、ここでやめます、と告げた。

むこうの椅子のところで待つように、と言われ指示に従う。

今回もリタイアだった。が、リタイアに慣れてきた。

遅かれ早かれ、人生からリタイアしなければならないのだから。

 

コップの水を2、3杯飲みながら、無線で手配してくれた車を待つ。

近くで寝ている若い男のランナーもいた。彼はやめないのだろうか?

 

12:10P.M.

白い乗用車が入ってきてオレ一人後部座席に乗りこむ。

収容バスの待つ藤原公園へ向かう。

ドライバーと助手席のおじさん(共に60代半ばぐらい)と

レースの話をしたりする。トップはもうすでにゴールしているという。

ウルトラスーパーなヤツがいるもんだ。

助手席のおじさんが振り向いて、最後にこう尋ねた。

来年、また走ります?

いやぁ、日光けっこう、もうけっこう。