8:03A.M.

雪の消えた林道を歩いて、登山口に着く。

前回1月29日に来た時は真っ白だったっけ。

小休止してから、山のなかへ踏み込む。

冬用の重い登山靴ではないので、快適に登っていくが、Mr.Xが遅れ気味だ。

 

8:48A,M,

稜線に出ると、いつものように冷たい風が吹いていた。

山頂も雲に隠れていている。残雪がときおり見える急斜面を登っていると、

風花が舞いおりてきた。その白い粒が青い袖口に小さな雪の花を咲かせて

一秒ほどで消えた。風の花のはかない命だ。

 

9:16A.M.

見晴らしのいい場所に出た。彼は、高いニコンのカメラを出して撮影しはじめる。

地質学者の彼は写真も趣味のひとつなのだ。その後ろ姿を見ながら、不思議な縁だ

と思う。江戸時代だったら、遠いアメリカの人とは出会うこともないだろうに、、。