もしも過ぎ去りしあなたに
全て伝えられるのならば
それは叶えられないとしても
心の中 準備をしていた
冷夏が続いたせいか今年は
なんだか時が進むのが早い
僕ら残りの月にする事を
決めて歩くスピードを上げた
赤黄色の金木犀の香りがしてたまらなくなって
何故か無駄に胸が騒いでしまう帰り道
期待外れな程 感傷的にはなりきれず
目を閉じるたびにあの日の言葉が消えてゆく
いつの間にか地面に映った
影が伸びて解らなくなった
赤黄色の金木犀の香りがしてたまらなくなって
何故か無駄に胸が騒いでしまう帰り道
「赤黄色の金木犀」より
ばあちゃん、家に帰ってきたよ。
小さい体で、私がおんぶして病院から帰った日もあったねぇ……
何度も「佳ちゃ~ん」て名前を呼んで……
その度に何時でも起きて……
私を呼ぶ声がない静かな夜
なんだかかえって眠れない……
午前中まで会話もできて……
なんで?
わからない。
わからないけど、
今は少し
わからないままでいい?
ばあちゃん
寒くねぇがい?
最後に聞いた声は
「寒いよ」
だった……
ばあちゃん、お風呂に入る度に「極楽極楽」ってニコニコしてたっちゃ?
また入るべね。
ばあちゃん、あと6時間で納棺だからさ……
「早く寝さい」
ばあちゃんの口癖。
んだね。
寝なきゃね。