⚫︎リセット
「旦那と離婚することに決めた、
そしてあなたとももう会わないことに決めた」
びっくりした様子で
彼は離婚する事も、彼と会わない事も辞めるように私を諭してきた。
私の覚悟は強いものだった。
私を選ぶ覚悟のない人に
何を言われても、揺らぐことはなかった。
ズルい男だな。
諭されれば諭されるほどそう思った。
ほぼ一方的に言い切って別れ、
今後、彼と連絡が取れないように連絡先を消した。
そして旦那にも別れを切り出す日が来た。
車で迎えに来てくれるタイミングがあり
車中で話しを切り出した。
「もう無理だから、離婚したい」
完全に話すタイミングを間違えた。
彼はいつかのように我を忘れ、
アクセルを踏みながら、車のハンドルを左右に激しく切り
「お前が結婚したいって言ったから
してやったんやろう」
そう怒鳴りながら危険な運転をした。
怖くて泣いている私を見て、我に返って
泣きながら彼は言った。
「嫌だ、嫌だ、無理、、、」
私より泣いていたかもしれない。
可哀想だったけど
もう無理だった。
どうしようもなかった。
彼も自分の今さっきの行動を省みて
わかっただろう。
私は彼を甘やかし過ぎたし
彼は私に甘え過ぎていた。
私は言った。
「そういうところだよ」
「ごめん、本当にごめんなさい、、、」
そう言って彼はしばらく泣いていた。
このままでは彼をダメにしてしまうし、
お互いに幸せになれない。
より一層決心が固まった。
私は別の日に、市役所に離婚届を取りに行き
記入したものを彼に渡した。
そして荷物をまとめて実家に帰った。
それから約半年経った頃
冷静になった彼が
「俺が全部悪かった、ごめん」
そう言って
記入した離婚届を渡してくれた。