⚫︎罪悪感

 

私は相変わらず、旦那との夜を過ごすことを断っていた。

 

もう破綻してしまった結婚生活を省みず

区切りを付けることなく

大好きな彼に会うことを楽しみに過ごしていた。

 

 

 

そんなある日、職場で仲の良い友達から

思い詰めた様子で悩みを打ち明けられた。

 

 

旦那から離婚話しを持ちかけられていると。

 

 

彼女は結婚しているが

旦那は単身赴任をしているので

家で1人で過ごすことが多かった。

 

話しを聞くと

原因は相手の不倫だった。

 

単身赴任先で不倫関係だった女性と本気になり

その女性と一緒になりたいから離婚したい、というのだ。

 

いつも明るい彼女の元気がなく

ストレスで顔面の半分が麻痺するくらい

裏切られて悲しんでいる様子が痛々しかった。

 

 

 

私の近況はというと、

もちろん彼女には伝えられなかった。

 

 

この時、初めて客観的に自分達のことを見た。

 

 

旦那が、彼の奥さんが知ったら、

彼女のように傷つくだろう。

 

 

 

今まで無視していた罪悪感が現れ出した。

 

 

 

そして同時に

浮かれていた気持ちが冷静になり出し、

疑問が浮かび出した。

 

 

 

彼がよく私に言うことがあった。

 

"君のことも奥さんのことも愛してる"

 

"離婚はできない、君もしないでほしい"

 

 

私は離婚する覚悟はあるくらい好きだったが

彼にはないんだな、と私は受け止めた。

 

 

私の心はどんどん冷静になっていき

今まで浮かれてスルーしていた、彼の言動や行動を

捉え始めた。

 

 

慣れた様子から、恐らく結婚してから彼女という存在が出来たのは

私が初めてではなさそうだ。

 

 

 

そしてついに、私を完全に冷静にさせる日が来た。

 

 

 

私の誕生日をお祝いしてくれると

フレンチを予約してくれていて

食事の後、お揃いの指輪をプレゼントしてくれると、カルティエへ向かった。

 

 

そう、彼はお金には苦労しない人だった。

 

 

いつも高級なお店へ連れて行ってくれるし

色んなプレゼントもくれた。

 

 

それは私は

愛されてるからだと思っていたけど違った。

彼にはお金をかける事は簡単だった。

 

だってたくさんあるから。

 

 

 

ふと思い出した。

 

結婚しようと決めてから

旦那はお金をあまり貯められなかったけど

結婚指輪は自分が買うと言って、がんばって買ってくれたことを。

 

 

 

とてつもない罪悪感を感じた。

 

 

 

そして店に着き指輪を選び、彼が店員さんへ

カルティエの指輪の内側にお互いのアルファベットを掘るように注文した。

 

その瞬間、一気に冷めた。

 

 

 

 

私はお金をかけた恋愛ごっこに

"ごっこ"とは気付かず

一年半も付き合っていたのだ。

 

 

 

情けない。

 

 

 

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