ドレーンは手術から3日後くらいに外れ、手の甲に入っていた点滴の針も取れた。
それだけで一気に身軽になって、体調もほぼ手術前と変わらないくらいまで戻っていた。
退院予定日の前々日、ずっと1人で使っていた2人部屋に、40代くらいの女性が入ってきた。
その日の夕方、廊下から看護師さんの
「虹が出てるよ」という声が聞こえてきて、思わず廊下に出てみると、きれいな虹が見えた。
なんだか、ちょっといいことがありそうな気がした。
退院前日にはレントゲンを撮った。
手術の際に気管挿管をしているため、肺に傷がついていないか確認するためらしい。
地下のレントゲン室に行くと、すでに2人の女性が順番を待っていて、少しおしゃべりをした。
2人は同室とのことで、1人は60代半ばくらい、もう1人は40代くらい。
どちらも私と同じ日に手術を受けたと聞いた。
「明日、退院ですか?」と聞くと、
60代くらいの方が「私はこのまま放射線治療なの。遠方だから、また入院して来るのは大変でしょうって、先生がうまく予定を組んでくれたの」と話してくれた。
「少し前から制限食は始めていたけど、あとは病院で管理してもらえるから楽なのよ」とも。
そしてその方が、少し間をおいて
「実は私、10年前にも手術しているの」
と教えてくれた。
思わず「再発ですか?」と聞くと、少しだけ表情を曇らせながら頷いて、
「前回は片側だけだったの」
と話してくれた。
やっぱり、再発することはあるんだなと、改めて感じた。
夕方には担当医との退院前の面談があった。
手術は無事に終わり、甲状腺はきちんと取り切れているとのことだった。
ただ、腫瘍が声帯にかなり巻き付いていたため、目に見えないレベルで細胞が残っている可能性があり、予定通り放射線治療は行いましょうと説明を受けた。
そのうえで、翌日の退院の許可が出て、退院後の診察日も決まった。