お茶のある暮らし

お茶のある暮らし

茶道を長年続けているブログです。お稽古の日々、茶道具、季節の花やお菓子など、茶道の魅力をのんびり綴っています

夏の夜は、なかなか眠れないことがあります。

暑さのせいでしょうか。それとも歳のせいでしょうか。 布団に入っても目が冴えて、天井を見ているうちに時間が経ってしまうことが、このごろ増えました。

そんな夜は、思い切って起き上がって、湯を沸かすことにしています。

鉄瓶の音が、頭を静かにする

台所で小さな鉄瓶を火にかけて、ぼんやりと待ちます。 大げさなことはしません。ただ待つだけです。

やがてお湯が沸いてくると、あの「しゅん、しゅん」という音がしはじめます。 この音が、不思議と頭の中のざわざわを落ち着かせてくれる気がします。

お稽古でも、釜の音は大切にしてきました。 師匠から「松風(まつかぜ)といってね、お湯が沸く音のことよ」と教えていただいたのは、もう何十年も前のことです。 その時はよくわかっていませんでした。 でも今になって、夜中にひとり湯を沸かしながら、ようやく少しわかったような気がしています。

夜のお茶は、ひとりで飲む

夜中にお抹茶を点てるわけではありません。 煎茶をひとつまみ、小さな急須に入れて、静かに飲むだけです。

夜なので、熱いお湯よりも少し冷ましてから注ぎます。 そうするとお茶の甘みが出て、なんともやさしい味になります。

師匠からは「お茶は時間を問わない」と言われていました。 朝に飲むお茶も、夜に飲むお茶も、お茶はお茶なんですね。 その言葉の意味が、こんなふうに身にしみるとは思っていませんでした。

今年の夏は、稽古に行けていない

今年の夏は膝のこともあって、稽古に行けない日が続いています。 手術から2ヶ月以上が経って、少しずつ良くはなっているのですが、正座はまだ難しい状態です。

家でお湯を沸かしていると、お稽古の場の静けさを思い出します。 畳の感触。釜の音。お菓子の甘さ。お道具を扱う静かな時間。

遠くにいても、お茶はすぐそばにある気がします。 それがうれしいです。

眠れない夜に、そんなことをひとりで思いながら、お茶を飲んでいます。

これが私の、夏の夜の小さな習慣になりました。

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お茶の種類について気になった方は、ブログにも書いています。 抹茶と煎茶と玉露の違いとは?製法と味わいのことを調べてみました

眠れない夜に、のんびり読んでいただけたらうれしいです。

お盆が過ぎました。

あの賑やかさが嘘のように、今朝はとても静かです。

ゆっくりと庭の方を眺めると、蝉の声はまだ元気ですが、空気がほんの少しだけ違う気がします。気のせいでしょうか。残暑はまだまだ続くはずなのに、どこかに秋の気配がある。そんな朝でした。

そんな静かな朝に、私はお茶を点てました。

朝のお茶のこと

このところ、早めに起きてお点前をするのが楽しみになっています。

夕方よりも朝の方が、どこかしら気持ちが澄んでいる気がするんです。難しいことはわかりませんが、朝のお茶は特別な感じがします。

今日は、夏らしいひんやりとした白い茶碗を使いました。高台のある少し深めの碗で、持ちやすくて好きです。お菓子は昨日の残りの水饅頭。うまく合うかどうかと思いましたが、薄茶の甘みと合わさって、悪くなかったと思います。

一服飲んで、ほっとしました。

お盆が終わって

お盆の間は、家の中が何となくざわざわしていました。

子どもや孫の声が聞こえたり、賑やかな食事があったり。それはとても嬉しいことですし、久しぶりに顔が見られてよかった。でも終わってみると、少し疲れていました。膝の具合もあって、長く動き回ることができず、ゆっくり座って話をするのがせいぜいでした。

賑やかさが去ると、しんと静まります。

この「しん」とした感じが、なんだか懐かしいです。普段の自分に戻れたような気がして。

お茶が気持ちを整えてくれる

師匠がよく言っていました。

「お茶はいつも同じように点てなさい。」

何か嬉しいことがあっても、悲しいことがあっても、どんな日でも。「手を動かすことで、気持ちが整う」と。

その言葉の意味が、今朝のひとときに少しわかった気がします。茶筅を動かして、湯を汲んで、茶碗を清める。その一つひとつの動作が、ざわざわした気持ちを落ち着かせてくれるのかもしれません。

師匠のいう「手を動かす」は、こういうことだったのかな、と思いながら飲みました。

また明日もお茶を

これからまだまだ残暑が続きます。

でも今朝みたいに、静かな時間をつくってお茶を飲む。それが夏の暮らしの中でのお楽しみになりそうです。

朝のお茶が好きな方は、ぜひ試してみてください。特別な道具がなくても大丈夫です。気持ちが少し落ち着く時間になるのではないでしょうか。

風炉の季節のこと、ブログにも少し書いています。よかったらのぞいてみてください。

風炉と炉の違いとは?季節での使い分けのこと

また明日も、朝のお茶を楽しもうと思います。

今年もお盆がやってきました。

外に出ると、もう朝のうちから蒸し暑くて。庭の鉢花に水をやってきたら、それだけでじわっと汗が出てきます。ひざの具合がよくないこともあって、長いこと外に立っていられないのですが、水やりだけは毎朝続けています。

そんな朝ですが、今日はいつもより少し早起きして、お茶を一服点ててみました。

お盆の間は、心が少し静まります。先祖への感謝という気持ちなのか、それとも夏の盛りに一度立ち止まる時間を、どこかで求めているのか。自分でもよくわかりません。ただ、こういう時期に一人でお茶を点てていると、義母(師匠)のことをよく思い出します。

「夏のお稽古はね、涼を感じさせてなんぼよ」

そう言っていた義母の声が、またふっとよみがえってきました。亡くなってから何年も経つのに、風炉の前に座るたびに思い出します。不思議なものですね。

今日のお茶碗は、青みがかった涼しげなものを選びました。夏は道具の見た目から涼しさを出すことが大切、と教わってきましたので。お湯の温度も、少し低めにしたつもりです。ちゃんとできているかどうかは自信がないのですが、泡がふわっと立つとやはり気持ちがいいですね。

縁側の近くで、庭を眺めながら一服しました。庭の紫陽花はもうとっくに終わって、今は百日紅が咲いています。真っ赤な花が夏の空に映えて、きれいでした。

ひざが痛むと庭に長くいられないのが残念なのですが、それでもこうして窓越しに眺められるだけでもありがたいと思います。お茶を点てながら庭を見て、静かに過ごす朝。これが今の私には、何より嬉しい時間かもしれません。

お盆の間は、毎朝一杯点てようと思っています。テレビも新聞もまだ開かないうちに、ひとりでお茶と向き合う時間。義母も喜んでくれているといいのですが。

今は一年の中でも風炉の季節の真っ盛りです。風炉と炉の切り替えや違いについて、以前のブログにまとめていますので、気になる方はのぞいてみてください。 → 風炉と炉、どう違うの?季節の切り替えのこと

今日は先祖への感謝も込めて、もう一服点ててみようかなと思っています。

暑い日が続いています。

夏の暑さの中でも、午後になるとお茶が飲みたくなります。 体が覚えているのでしょうか。 不思議なものです。

先日、近所のスーパーで小さな落雁を見つけました。 茶道のお稽古で使うような、あの白くて上品なお菓子です。 季節柄、朝顔の形をしていました。 思わず手が伸びていました。

お茶には、やっぱりお菓子がほしくなりますね。

特別なものでなくていいのです。 むしろ毎日のお茶には、気軽なものの方が続きます。 私がよく添えるのは、水羊羹や干菓子、それから薄いせんべいなど。 口に入れてほっとする、小さなものです。

師匠には昔、「お菓子は甘すぎないものを」と言われていました。 お茶の味を邪魔しないように。 その教えが今もどこかに残っていて、濃すぎるチョコレートや洋菓子よりも、さっぱりした和のものをつい選んでしまいます。

でも、厳しく考えなくてもよいと思っています。 ひとりでのお茶なら、好きなもので十分。 この夏はところてんを小皿に盛って添えてみたら、これがなかなか合いました。 黒蜜を少しかけて。 お薄との相性がよくて、驚きました。

冷たいものと温かいお茶というのも、夏らしくていいですね。 お菓子を決めてから、それに合わせてお茶の濃さを変えたりすることもあります。 試してみると面白いですよ。

膝の具合がまだ万全でないので、長い買い物はなかなか難しいですが、 近くのお店や通り道で見かけたものを少しずつ試しています。 あちこち歩けないぶん、ゆっくり選ぶ楽しさが増えた気もします。

旬のものをひとつ添えるだけで、お茶の時間がずいぶん豊かになりますね。 毎日飲むお茶だから、お菓子のことも少し気にかけると、暮らしがなんとなく丁寧になるような気がしています。

稽古では先生からいただくお菓子を拝見することも楽しみのひとつでした。 主菓子のきれいなこと。季節ごとにちゃんと変わるのが、またよくて。 自分ではなかなかそこまでできませんが、せめてひとつだけでも、 今の季節らしいものを選ぼうかなと思うようになりました。

朝顔の落雁は、机の上のちいさな器に置いてあります。 食べるのがもったいないくらいですが、お茶をいれたら一緒にいただこうと思っています。

お菓子と季節のことについては、以前ブログにも書きました。 よろしければのぞいてみてください。→ 茶道のお菓子の選び方と季節感

今日も夕方にもう一服、飲もうかと思っています。

八月も半ばになりました。

立秋を過ぎたとはいえ、今年の夏はまだまだ暑いですね。 日中は外に出るのも億劫で、エアコンの部屋でじっとしていることが多いです。

そんな日の夜、一服のお茶が楽しみになっています。

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夜の九時頃、家が静まり返った時間に、ふっと台所に立ちます。

お湯を沸かして、棗と茶杓を取り出す。 それだけで、気持ちがすっと切り替わるんですね。

テレビも消して、茶碗に向かうひとときが、最近の小さな楽しみです。

形式張ったお点前をするわけではありません。 ただ、丁寧に抹茶を点てて、静かに飲む。それだけです。

でも不思議なもので、このひとときがあると、一日の疲れが柔らかくほぐれていくような気がします。

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師匠からは「お茶は何度飲んでも飽きないものだ」とよく言われていました。

若い頃は、その言葉の意味がよくわかりませんでした。 お稽古の場でいただくお茶が美味しいのはわかる。でも毎日飲んで飽きないものなの?と。

今になって、少しわかる気がします。

抹茶の味というより、お茶を点てるその行為の中に、何か落ち着かせてくれるものがあるんです。 茶杓で抹茶をすくう感触。湯を注いだ茶碗の温かみ。茶筅を動かす音。

一つひとつは小さなことですが、それが重なって、日常の騒がしさからふっと離れられる。

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ひざを悪くしてから、遠出がなかなかできなくなりました。 以前は近所を少し歩いたりもしていたのですが、今は車での短い外出が精一杯です。

だからこそ、家の中での楽しみが大切になってきました。

庭に出られない日は、縁側から植物を眺めたり。 夜はこうして、一人のお茶の時間を持つようにしています。

これで十分だと思えるようになったのも、長年お茶を続けてきたおかげかもしれません。

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薄茶の点て方には、いくつか大切なことがあります。 以前、ブログにも書いたことがありますので、よかったらご覧ください。

おうす(お薄)とは?薄茶の意味と点て方の基本

夜に一服点てる時、私はつい丁寧さを忘れがちです。 疲れているときほど、雑になる。

そういう時、師匠に見られていたら叱られるだろうなと思います。 そう思うと、少し背筋が伸びるんですね。不思議です。

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八月はもう少し続きます。

残暑はまだ厳しいですが、夜の風はほんの少し変わってきた気もします。

今夜も静かに一服いただいて、ゆっくり眠ろうと思います。

みなさんも、寝る前の短い時間に、お茶を一杯いかがでしょうか。

先日、久しぶりに友人が来てくれました。

膝のことがあって、なかなか外に出られない今年の夏です。ならば「うちに来て」とお願いしてみたら、「もちろん」と言ってくれて。うれしかったです。

人が来ると決まると、私はまずお茶のことを考えます。

何を点てようか。お菓子は何にしようか。どの茶碗を出そうか。

この「考える時間」が、じつは好きなんです。支度をしながら、来てくれる人のことを思う時間。静かで、穏やかで、お茶らしい時間だと思います。

お菓子は前日に選んでおく

来客のときのお菓子は、前日に買っておくようにしています。

当日あわてて選ぶと、心が落ち着きません。今の私の体では急ぐことも難しいですし、前日のうちにゆっくり選ぶのが一番です。

今回は、近くの和菓子屋さんで夏らしい水ようかんを買いました。

ひんやりと涼しそうな見た目で、器に盛ると季節感が出ます。師匠がよく「8月は目で涼を感じさせるのが大切」とおっしゃっていました。言葉の意味が、長くお茶を続けているうちにだんだんわかってきた気がします。

夏らしい茶碗を出して

夏は薄手の茶碗が好きです。

手のひらに伝わる感触が、厚い茶碗とは違います。見た目にも涼やかで、季節感があります。

棚の奥から青みがかった茶碗を出しました。仕舞いっぱなしだったので、まず柔らかい布で丁寧に拭いて、少し眺めて。

こういう時間が、なんだかいいんですね。道具を出して、ゆっくり見て、今日に備える時間です。慌てないで済むのは、前日に準備しているからこそだと思います。

点てるのはお薄で

来客に点てるのは、たいていお薄(薄茶)です。

お薄は気楽に飲んでもらえますし、お稽古と同じ点て方でできるので、特別なことをしなくていいのがいいところ。

とはいえ、人前で点てるのはやっぱり少し緊張します。

45年近く続けているのに、誰かに見られていると「次の動作は何だったかな」とふと迷うことがあります。困ったものです。

茶筅を湯でよく温めて、抹茶を篩にかけて、丁寧に点てました。

お薄の点て方について、ブログのほうでも書いたことがあります。よかったら読んでみてください。

おうす(お薄)とは?薄茶の意味と点て方の基本

「おいしい」の一言がうれしくて

「おいしい」と言ってもらえると、やっぱりうれしいです。

一人で飲むお茶と、誰かと一緒に飲むお茶は、同じお茶でも全然違う気がします。おいしさも違うような気がしますし、なんとなく、時間の流れが少しゆっくりになる感じがします。

友人は「来るたびにお茶を点ててもらえるから、ここに来るのが楽しみなんだよ」と言ってくれました。

少し照れましたが、うれしかったです。

外に出にくい今年の夏、こうして家でお茶をする機会が増えました。外に出られないのは寂しいですけれど、その分、家でのお茶の時間が以前より丁寧になった気がします。

それはそれで、悪くないのかな、と最近は思っています。

次に来てもらえるときは、また何のお菓子にしようか、もう考えています。

昨日から雨が続いています。

立秋を過ぎたばかりなのに、まだまだ蒸し暑い日が続きますね。 雨が降るとすこしだけ、ほっとします。 こんな日は、どこへも出かける気にならなくて。

それがかえって、ちょうどいいのかもしれません。

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今日の午前中、窓の外を眺めながらお茶を一服いただきました。

急須でさっと淹れた番茶です。 お抹茶を点てるほどではないけれど、こういう日は番茶のほうが気持ちに合います。 すこし濃いめに淹れて、静かに飲む。 それだけで、なんとなく落ち着く気がします。

雨の音って不思議ですね。 庭の葉っぱに当たるときの音、屋根に打ちつける音。 お茶を飲みながら聞いていると、茶室の雨のことを思い出します。

お稽古の日に雨が降ることって、昔はよくありました。 師匠は「雨もまた、茶の道のうち」という感じで、特に嫌がる様子もなくて。 私はその頃、正直「雨は憂鬱」と思っていたのですが、今はすこし違う気がします。

雨の日は、余計なことを考えなくていい。

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お茶を飲みながら、和菓子を一つ。

今日は冷蔵庫に残っていた水羊羹をいただきました。 8月の和菓子というと、どうしても涼しげなものが多いですね。 葛切り、くずもち、透き通った涼菓子。 眺めているだけでも、すこし涼しい気持ちになれます。

和菓子とお茶の組み合わせって、どちらかが主役というわけでもなくて、 一緒にあるからこそ、どちらも引き立つのだと思います。 これも長くお茶をやってきてわかってきたことの一つです。

お茶のお菓子の選び方については、以前ブログにも書きましたので、 よかったらこちらも読んでみてください。 → 茶道のお菓子の選び方と季節感

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ひざの具合はまだ完全ではないので、今日みたいな日は外に出る気もせず。 でも、こうして家でゆっくりお茶を飲んでいると、 それはそれで悪くないなと思えてきます。

お稽古には通えていますが、以前より動き回れない分、 家の中でお茶を飲む時間が増えました。

それがいいことか悪いことか、正直よくわかりません。 でも、急いで飲んでいたお茶が、ゆっくりになった気はします。

師匠がよく言っていた「一期一会」という言葉。 お茶会だけじゃなくて、こういう雨の日の一服にも、 当てはまるのかもしれないなあ、なんて思いました。

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雨は夕方まで続くようです。

もう一服、いただこうと思っています。 今度はすこし薄めに点てて、ゆっくり飲もうかな。 皆さんも、雨の日はどうぞゆっくり過ごしてください。

今日はもう立秋です。

暦の上では秋、と言われても、外はまだまだ蒸し暑くて、なかなかピンときませんね。

でも不思議なもので、毎年この時期になると、なんとなく「そろそろ替えどきかな」という気持ちになります。

掛物のことです。

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稽古場の床の間に掛けているものを、季節ごとに替えていく。これが思っている以上に、部屋の空気を変えてくれます。

夏の間は涼しげな筆致のものを選ぶことが多いです。水の流れを描いたものや、葦のような線の細い植物。見ているだけで少し涼しい気持ちになる、そんなものを。

それが秋に近づいてくると、ほんの少しだけ重みのある、落ち着いた雰囲気のものに替えたくなります。

「季節の先を行く」というのが、お茶の世界の考え方。花もそうで、咲きかけのものを選ぶのが好ましいとされています。まだそこにないものを、先に取り込んでおく。そういう感覚が面白いなと、ずっと思っています。

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今年は膝のことがあって、なかなか花を摘みに庭の奥まで行けないのが少し残念です。

水やりくらいはできるのですが、中腰になったり、足元の悪い場所に踏み込んだりは、まだ難しい。

それでも玄関のそばに植えている萩が、ちょうど咲き始めていました。

白い小さな花が、ふわっと風に揺れているのを見て、あ、もう秋の花が出てきた、と。なんだかほっとしました。

ちょうど一輪挿しに入る長さに切って、床の間に置いてみたら、ぱっと明るくなった気がしました。

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しつらえ、と聞くと難しそうに聞こえますが、私がやっていることは本当に小さなことです。

掛物を替える。花を換える。棗の塗りを季節に合わせてみる。それくらいです。

師匠から度々言われていたのは、「道具を拭く手間を惜しまないように」ということ。使ったものをきちんと拭いて、元の場所に戻す。それがしつらえの始まりだと。

手の届く範囲で、丁寧にやっていく。そういうことなのかなと思っています。

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風炉の季節はまだしばらく続きますね。

炉に切り替わるのは十一月。それまでの間、夏の名残を惜しみながら、秋の気配を少しずつ取り込んでいく。この移ろいの時期が、一年のうちで私はとても好きです。

しつらえを替えるたびに、ああ季節が動いたな、と実感します。カレンダーを見て知るのとは、また違う感じがするんですね。

風炉と炉の切り替えについても、以前ブログで書きました。よければこちらもどうぞ。

風炉と炉の違いとは?季節での使い分けのこと

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今年の秋は、どんなお茶が点てられるか、今から少し楽しみにしています。

涼しくなったら、また少し動けるようになるかもしれないし。

ゆっくりゆっくり、季節に沿っていきたいと思います。

朝いちばんのお茶が好きです

歳を重ねてから、朝いちばんに一服のお茶をいただく時間が、なによりの楽しみになりました。まだ家の中が静かなうちに、お湯を沸かし、茶碗をあたためる。その手順のひとつひとつが、寝ぼけた心をそっと起こしてくれるようです。特別な道具はいりません。いつもの茶碗と、少しのお抹茶があれば十分です。

お湯の温度で味が変わります

お抹茶をおいしくいただくには、お湯の温度が大切だと、母から教わりました。沸騰したての熱いお湯ではなく、少し冷まして八十度くらいにすると、苦みがやわらいで、まろやかな甘みが出てきます。急須やポットに移し替えて、湯気の立ち方を見ながら待つ。その少しの手間が、味をぐっと引き立ててくれます。

泡は立てすぎないくらいがちょうどよい

茶筅を動かすときは、力を入れすぎないのがコツです。手首をやわらかく使い、「一」の字を書くように前後へ。細かな泡がふんわりと立ってきたら、それでもう十分です。きめ細かい泡ばかりを目指さず、その日の自分の手に任せるくらいが、かえって心地よく仕上がります。

一服の時間が心を整える

お茶を点てて、両手で茶碗を包むと、じんわりとぬくもりが伝わってきます。ひとくち含めば、青々とした香りが鼻に抜けて、肩の力がふっとほどけていきます。今日はどんな一日になるかしら。そんなことを思いながら、静かに味わう。この数分間があるだけで、慌ただしい朝もずいぶんとやさしくなります。

よくいただく質問

Q. お抹茶は毎日飲んでも大丈夫ですか。 A. 飲みすぎなければ、日々の楽しみとしてじゅうぶんです。ご自分の体調に合わせて、無理のない量でお楽しみください。 Q. 道具はそろえないといけませんか。 A. まずは茶碗と茶筅があれば始められます。少しずつお気に入りを増やしていくのも、また楽しいものです。

季節ごとの楽しみ方

同じお抹茶でも、季節によって感じ方が変わるのもおもしろいものです。春には芽吹きを思わせる若々しい香りを、夏には冷たくして涼やかに、秋や冬にはあたたかな一服で心までほどけていくように。窓の外の景色を眺めながらいただくと、その日その日の小さな変化に気づけて、暮らしがいっそう豊かに感じられます。

おわりに

お茶のある暮らしは、決して難しいものではありません。今日からできる小さな一歩として、朝の一服をどうぞ試してみてください。慌ただしい毎日のなかに、ほっと息をつく時間が生まれます。

今日も暑いですね。

九州の夏は、ほんとうに容赦がありません。 朝から蒸し暑くて、台所に立っているだけで汗が出てきます。

そんな日のこと。 急に「冷たいお抹茶が飲みたいな」と思ったんです。

お稽古では、冷たくしたお茶を点てることはほとんどありません。 でも家で自分のために飲むぶんには、いろいろ試しても怒られないかな、と。 師匠がご存命のころ、「稽古以外の場でお茶を楽しむことは悪くない」とおっしゃっていたのを思い出して。

氷水で冷たく点てる方法

調べてみると、冷たいお抹茶を点てる方法はいくつかあるようです。

私が試してみたのは、ガラスの器に氷を入れて、お湯ではなく少量の水でまず茶を練り、それから氷水を注ぐやり方。

茶筅でしっかり練るところは普段のお点前と変わりません。 最初、少ない水で練るのが難しくて。ダマになりそうで心配でした。 でも丁寧に練ってから氷水を足したら、わりときれいに溶けてくれました。

色がきれいなんですよね。 鮮やかな緑が、ガラスのコップの中に広がって。 思わず「あ、きれい」とひとりで言ってしまいました。

飲んでみたら

口に含んだとき、ひんやりとして気持ちよかったです。 甘みよりも、お茶のすっきりした苦みが先に来ます。 お湯で点てたときとは、少し違う飲み口です。

どちらがいいというわけではないけれど、 暑い日の午後には、この冷たいほうが体に染み渡るような気がしました。

お菓子は、冷蔵庫にあった水ようかんにしました。 ちょっとした涼の演出です。

これは家でできる、小さなお茶の楽しみですね。

冷たくても、作法は大切に

ひとつ、自分に言い聞かせたことがあります。 飲み物として気軽に楽しむのはいいけれど、茶碗の扱いはきちんとしようと。

お点前は略しても、茶碗を大切に持つ、飲み終わったら清める。 そのくらいは崩さないようにしていたいのです。

師匠から「道具を粗末にしない」とよく言われていましたから。 冷たくしても、そこは変わらないと思っています。

夏のお茶の楽しみ方

お抹茶の点て方の基本を改めて調べていたら、 おうす(お薄)の意味と点て方の基本をまとめた記事を見つけて読み直しました。 家で飲むときも、基本に立ち返るといいなあと思いました。

暑い夏、お稽古以外でもお茶と暮らす時間があると、 なんだか気持ちが落ち着きます。

今度は、夜少し涼しくなったころにもう一度試してみようと思っています。 氷をたっぷり入れて、縁側で飲んだら気持ちいいだろうな、と。

膝のこともあって遠出は難しい夏ですが、 家の中で好きなお茶を楽しめることに、じんわりとありがたさを感じています。

ではまた。