ちかぽん@モンゴルでエコツアープロデューサー兼業遊牧民です。
2002年にモンゴルホライズンを創業し、モンゴル国でエコツーリズムを普及する取り組みをしています。
2009年に100%日本資本の外資系企業となってから10年間、兼業遊牧民として、旅行業と遊牧業を兼業させるビジネスで持続可能な発展モデルを模索中です。
ただいま、一人株主企業に変更手続き中。

2018年4月7日付で弊社馬旅料金の裏事情みたいなことをつらつら書いていたのを改定しています。
乗馬トレッキングは弊社の目玉商品で主要収入源。
弊社スタッフ・キャスト(馬やその他の家畜たちや動物たち)が皆一丸となってお客様にサービスを提供しています。
モンゴルらしい大自然と遊牧民と乗馬を満喫できる、私たちも大好きなエコツアープログラムです。


モンゴルホライズンプのモンゴル馬旅の料金と内容のご紹介記事はコチラ

 

 

料金は利用者の立場からしたら、リーズナブルであることって大事ですよね。

長くなるから、詳細はお時間のある時に読んでいただけると嬉しいけれど、ざっくり要約すると

料金設定の根拠は3つあります。

1)限られた期間で馬も人も体力温存しながら、越冬資金とスタッフの生活費を稼ぎたい。

2)充実した食生活重視=素材選びとプロの料理人と衛生管理環境を徹底したい。
3)本物の遊牧民が草原で持続的発展を目指せるビジネスモデルを築きたい。

 

鉱山開発が進み、住宅地や農耕地など、行政がどんどんお金のある都会の人達に放牧地の所有権・占有権を分譲しているため、遊牧民たちの生活環境がどんどん狭められています。
自然と共存して生き抜く遊牧民が今や人口の23%以下、全体的に高齢化していて、若者の遊牧民離れ・地方離れが進んでいます。

モンゴルホライズンの「草原の我が家」は、若者の草原離れを食い止め、皆で遊牧文化を継承・維持しながら、都会で得られる学習機会や国際交流の楽しさや安定的な収入機会の確保を目指しています。



詳細は、以下の通り。

 

限られた季節が稼ぎ時 馬に負担をかけず、無事に越冬させるための費用を稼ぐ

私たちの馬旅は、6月から8月末までのわずか3か月という限られた期間の営業です。

馬旅で馬たちと遊牧民スタッフが乗馬ガイドとして稼いでくれたお金で、厳しい冬を越すための人件費、餌代、防寒具代、小屋修繕費などを捻出しています。

馬旅収入の全てをつぎ込んで、9月から翌年4月までの牧畜に関わる経費を賄います。

8月中にしっかり脂肪と筋肉をバランスよくつけさせることも馬を無事に越冬させるたための重要なカギです。
 

馬旅で稼ぐと同時に、馬の成長・体調に合わせて、ベストな運動をさせながら、肥育し、-50℃近くまで下がる極寒地、深く硬い雪を掘り下げて凍り付いた放牧地の枯れ草をかみ砕ける強さをキープできるだけの体力を蓄えられるか、が馬牧民の腕の見せ所。

 

うちの馬は基本的に週休3日制。3日間お客様を乗せたら、3日間は完全休養です。
キャラバントレックに出るときは、2-3日連続でがんばったら1日は完全休養日。
人間は自然散策で歩き回り、大地の懐に抱かれることに専念します。
効率悪いなぁって思うのですが、夏は走る季節ではなく、冬に向けて、良質の草をたくさん食って、筋肉と脂肪をしっかり蓄える季節なのです。

極寒期を耐えられる体力を作りながら、お客様と一緒に旅を楽しむ。
万が一の時のための、家畜用の補助栄養剤や予防薬や獣医さんの出張診療をお願いするための費用も馬旅によって蓄積しています。

 


モンゴルの馬は家畜です。
乗用馬として働けなくなったら、即、肉になります。
衰弱して死んでしまったら、無駄死にです。

私たちは、できる限り長い年月を、大切な馬たちと共に過ごしたいのです。
そのために必要な経費を稼ぐ必要があります。

馬に無理をさせず、住み込みスタッフたちも、家族と過ごす時間とやりがいを持って働けるようにワークライフバランスを重視したい。。
 

厳しい冬に街に出ることなく、馬と共に雪原で暮らす馬牧民スタッフたちも安全にできる限り安心と快適さを確保してほしい。
牧民スタッフの防寒用のブーツ・コート・その他の衣類・小麦粉や米、パン、調味料、わずかな野菜やし好品と給料、社会保険料なども馬旅の収入で賄います。
乗馬ガイド、遊牧民スタッフも、皆社会保険に加入し、健康保険料も払い、所得税源泉徴収分をきちんと国におさめられるように、会社員として正規雇用しています。
乗馬ガイドは多くの場合、季節雇用で、ツアー会社は遊牧民の生活になんの責任も持たず、現金とっぱらいでわずかな日給を払うというところがほとんどです。


法律上は、収入が発生した場合は、所得税源泉徴収は10%、社会保険料は11%が賃金・報酬から天引き、13%が雇用主負担となっています。
多くの遊牧民が、こうした国への納税義務を怠り、社会保険にも加入していないケースが多いのです。
生活の安定と老後や健康不安を払拭するため、私たちは、正規雇用として労働契約を結び、遊牧民も納税・社会保険料の支払いを無理なくできるようにし、遊牧民も国や社会への金銭的貢献ができるようにしています。

 

馬の世話は休みがありません。
たとえ、騎乗が1-2時間だったとしても、放牧地から馬を連れてきて、馬装し、準備を整え、トレッキングが終わったら、クールダウンをし、馬装をといて、馬具の手入れをし、馬を放牧地に連れて帰るという作業があります。放牧地まで大体、片道20-30km。
 

馬牧民たちは、お客様と接するだけが仕事ではなく、大切な馬たちが安全に元気に働けるように世話をするのが本業です。

 

約40頭弱いる馬の群の所有者は私・モンゴルだるまです。
家畜にかかる行政への支払い・許可手続きなどの費用も私が負担することになり、この費用も馬旅によってまかなうのです。


ただ、自分たちの楽しみや思い出づくりというエゴのために、馬に無茶をさせるのではなく、馬旅そのものが、馬の一生を理解し、応援する活動になったらいいな、って考えています。

 

 

健康で充実した食生活に妥協しない


実は、料金を削れ、と言われたら、滞在中の食生活をレベルダウンすれば、それなりに削れます。

肉は自家消費用の家畜を利用しているので、都会の市場やスーパーで切り身肉を仕入れているツーリストキャンプに比べると、我が家の食材は新鮮で安全です。
普通の遊牧民と違って、24時間電気供給がある施設に冷凍庫を設置し、新鮮で衛生面でも安心な状態で冷凍保存しています。
高級リゾートやホテル、パーティーのケイタリング調理などの経験豊かな専属コックが毎回、家庭料理や栄養バランスの取れた定食やモンゴル家庭料理を作ります。
厨房ゲルは、毎回調理のたびに、食器や調理器具、調理台を滅菌消毒し、食事のサンプルを保管するなど、都会のレストランと同じ衛生管理をしています。

野菜は低農薬の国産品または有機野菜を使っています。
見た目がよくても、農薬にどっぷりつかった中国国産の根菜などは使ったことがありません。

美味しくて、清潔で、新鮮な食材を適切な方法で取り扱い、丁寧に調理する。
食生活については、高級リゾート施設なみのクオリティを心がけています。

 

旅費として削れるところは、ここ!です。
実はエンゲル係数結構高いかも・・・

 

 

本物の遊牧民体験

 

宿泊施設は、シンプルな家具のみを配置したゲストゲルです。
家畜は、私の所有で、遊牧民スタッフが世話をしているので、乳しぼりや毛刈りなど、家畜と触れ合う作業体験も、責任を持ってサービスとして提供できます。

 

ツアー会社が提供する「遊牧民のお宅訪問」と違うのはここです。
私が所有している家畜なので、一頭一頭の性格や年齢・性別を把握しています。
親身になって、日々の世話をしています。
遊牧民スタッフもお客様に慣れているので、安全で簡単な作業のコツを熱意と根気を持って伝えます。

 

いちいち「遊牧民訪問」のための「手土産」をご用意いただく必要はありません。
こうした体験は料金の中に含めています。
料金に含めているのは、日々の遊牧作業+お客様への対応が遊牧民スタッフの業務とすることで、「ツアー客は金づる」=「臨時収入」という感覚にならないようにするためです。

 

宿泊は別々ですが、一緒に作業をしたり、馬に乗ったりして過ごすことで、疑似家族体験ができます。こうした異文化交流のために、スタッフも日々、異文化交流ワークショップに参加しています。

 

ちょろっと「やりました」じゃなくて、作業を作業として「できるようになる」という達成感が持てるくらいまでは、がんばってもらいたいところです。
中途半端に「やってみた」ってインスタやツイッターやブログ、フェイスブックに載せる貯めの写真撮って終わり、じゃなくて、ちゃんと、やってみていただきたいっていうこだわりがあります。

なんでも、「やりきった」感を持つことで得られる学び・気づき・発見ってあるはず。

 

 

のんびり贅沢な滞在時間

通常のツーリストキャンプやパックツアーでの旅程スケジュールって
午後15時以降チェックイン・午前10時チェックアウトというように時間が決まっています。
草原の我が家では、ウランバートルの渋滞をさけるための時間設定はしますが、基本的には、朝から晩までのスケジュール配分はお客様のご要望で調整します。

朝ごはん何時に食べたい?
今日は何をしますか?
今日、やり遂げたいことはどんなこと?

今、ここで感じていることは?

そんな風に、自分を意識し、自分の心と体を調和させていく質問をしたりします。

草原の我が家にいる時間は、お客様の人生のかけがえのないひと時なんだ、そんなことをより鮮明に感じられるように感覚を開いていきます。

 

コーチング・ヒプノセラピー・レイキヒーリングなどを学んだことで、より潜在意識にアクセスしやすくなるアプローチが、のんびりタイムにもちりばめられています。
自分らしさ、今、ここにいる自分がOKなんだ、最高なんだ!という自己承認の快感を味わっていただける場が「草原の我が家」なのです。

 

 

たっぷり乗馬 人馬一体の感覚を育む 


乗馬も、午前中に2時間程度、午後に2時間程度。
ランチは50トゥグルグのプラスチック容器に詰め込まれた小さな揚げ餃子とキャベツサラダにクッキー1個とミネラルウォーター。

 

馬の乗り方がおかしくて、馬が背中を痛め、乗り手がお尻の皮をひんむいたり、膝を痛めても、乗り方の根本が間違っていることは指摘せず、ただ淡々と引馬をする乗馬ガイド・・・
それってガイドじゃないよ、って思うんです。

モンゴルの馬って穏やかで従順で、人間の役に立つことを使命って心得ているのです。
そういう存在に対して、ただ、乗って、草原移動して、写真撮って、あー面白かった、だけじゃもったいない。

たっぷり乗馬するって、馬が汗だくになって、へばるまで乗りつぶすことじゃない。
必要な運動量を適切なスピード配分で、気持ちを合わせながら、大自然の中を走ることで得られる一体感とか、馬上でこそ味わえる視界や風を感じることで、疲れることじゃないって思うんですよね。

移動距離とか騎乗時間とかで全部をはかれるわけではないのだけれど、たっぷり乗馬したねーって感じって、そこで共有した馬と人間の時間があって、その分、馬も人間も親密さや愛着みたいなものが芽生えたりするもんなんですよね。

 

馬にやさしい乗り方をしようって思えば、自然とバランスもとれるようになるし、姿勢もよくなり重心も安定する。
馬も人間が「怖い!」って思わないペースで歩き走ってくれる。
 

そういう一体感がたっぷり乗馬なんです。

幼い人でも「やる!」と決めたら、馬もスタッフも全力で応援します。
お子様を乗せている時の馬って「保護者気分」になるのか、無茶はしません。

 

 

リアルライフとリトリート気分の両方を味わえます

遊牧生活と密着した場です。
家畜はありのままにのんびりと暮らしているし、それを世話する遊牧民もいつも通りの生活を送っています。
 

私が10年間かけて築いてきた遊牧ライフを垣間見ていただくことで、
「こんな生活もありなんだ」って感じていただけたら嬉しいです。

私にとっての日常生活が、お客様にとっての非日常。
いろんな視点で感覚を味わうことで、どんどん自分の視野が広がり、思考パターンの枠が外れていきます。

ただ、馬に乗りにモンゴルに行ってきました・遊牧民と友達になりました、というのではなく、もっと自分の日常生活に役立つ知識や情報や感覚、思考回路として、モンゴルの非日常を自分にとりこんでいただきたい。


たくさんのふしぎがあふれる日常

草原の我が家って、生きる力の源泉みたいなパワースポット。

いつだって「素直な本音ベースでいられる自分の居場所」って思っていただけるように、居心地の良さを求めて、いろいろ工夫しています。

という想いが料金と内容に詰め込まれています。
ご納得の上、草原の我が家にお越しください。待ってます。

長々書いちゃったけれど・・・もっともっとお仕事いっぱいしたいです。
年末年始の年越し体験、ツァガンサル、ナウルズ(イスラム教のお正月=春分の日)のプログラム開発中。

モンゴルへのビジネス進出のお手伝い、モンゴル語ー日本語の通訳・翻訳なども承っております。
お気軽にお問合せフォームからご相談ください。

 

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