モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。
最近、関わったお仕事のご紹介ばかりで恐縮です。
春から夏にかけての約5か月間、モンゴルの世界遺産のリサーチ・取材にべったり身も心も捧げておりました。
ようやくその成果がお茶の間・世界に配信されているのがちょっぴり嬉しい今日この頃。
今回は、モンゴルの伝統芸能の代表格「オルティンドー」です。
NHK総合にて11月22日 (土) 11:25~11:30放送予定。
「モンゴル民謡オルティンドー ~大草原に響く歌」のNHK世界遺産ライブラリーサイトはこちら(別ウィンドウで開きます。)
モンゴルの民謡には「オルティンドー(長い歌)」「ボギンドー(短い歌)」「ハリルツァーニードー(掛け合い歌)」という三つに大きくわけることができます。
このうち、世界無形文化遺産に登録されているのが「オルティンドー」です。
オルトが「長い」という意味。
ドーが「歌」という意味です。
「ィン」はモンゴル語の属格「~の」を意味しています。
独特のこぶしがきいた、ハリとノビのある歌声が特徴です。
とかえらそうなことを書いていますが、実は私、こういう由緒ある伝統芸能系って今まで苦手でした。
なので、大学の後輩で、大切な友人でもある「あやこん」こと三枝彩子さんに春からずーっと情報提供してもらっていたのです。
あやこんは東京外国語大学でモンゴル語学科を卒業した後でモンゴル国立文化芸術大学に留学し、みっちりオルティンドーの歌唱法の修行をして、現在、日本でプロのオルティンドー歌手としても活躍しております。
三枝彩子さんのブログでオルティンドーの魅力をさらに感じてみてくださいませ。(別ウィンドウで開きます)「いとしのオルティンドー」
一応、私もウランバートルで第一線で活躍中のオルティンドー歌手の方々との面識とかツテはあったのですが、まぁ、国宝級の方ばかりで、どなたにお願いすればいいのやら、という感じで、選り取りみどりで困っちゃう❤、と思ってたのですが・・・
ディレクターさんの意向は「市井の人」で「年配の人」=いかにも伝統を守ってきました@田舎ということで、今度は、テンション低く「困っちゃう」状態になってしまったのでした。
ほんとに上手な歌い手さんはウランバートルに出てきて歌手としてデビューします。
だから遊牧民で上手な歌い手さんなんて、どこでどうやって探せばいいのか・・・ひぃ!
もちろん各アイマグ(県)や各ソム(村)の文化会館所属の歌い手さんもいらっしゃいますが、生業が遊牧民で、オルティンドーの名手、という人を探すのは至難の業なのです。
まぁ、なんとかなるかな、って見つけていたわけですが、次から次へと、シチュエーションのハードルが上がってしまい・・・
久々に「ピンチ」という感じに陥りました。
さて、オルティンドーの有名どころ、というと、ドンドゴビ。
草原とゴビ砂漠の境界地帯にあたり、どこまでも広がる解放感のある大地が続いています。
ここでも、「困ったときは誰かに聞く」という人脈ネットワークを駆使して、ドンドゴビ出身の通訳仲間にSOSを発しました。
彼女が実家のご両親や親戚の方々、村長さんなどに相談し、リサーチのために現地まで行ってくれて、なんとか、よさそうな方を見つけてきてくれた・・・
それがラクダ飼いのおじいさん。
そっから先がさらに難しい感じで、ナーダム本番に歌う歌をと・・・
あぁ、ここでまた伝統的なジェンダータブーに阻まれて・・・。
もう実際、番組がどう編集されてるか、すっごく心配です。
世界的にも、日本国内の方々にも有名なオルティンドーだけに、有名どころの方(ネルグイ先生とかホンゴルゾルさんとかデルゲル先生とかトゥメンエヘの兄ちゃん歌手たちとか)に出演していただきたかったけれど、そうなると、せっかくの草原/ゴビ砂漠=広大な大地ではぐくまれた民謡・歌唱法というストーリーを語るために、わざわざウランバートル在住の歌手を地方に連れて行って・・・という「作り物」状態になってしまうのは嫌だ、というコダワリもまた、ごもっとも。
今回、遊牧民に歌い・語り・受け継がれているホンモノの世界遺産を見つけるのってほんとに大変で、優れた芸をもつモンゴル人がふつうに遊牧民として暮らすというのがとってもレアケースであることを感じたのでした。
他の作品も地元の方々のご協力なしには成立しなかった、と思うのですが、この回に関しては、とにかく「友情」にアツい義理堅く有能で親切な仲間に助けられて取材にこぎつけた作品です。
バヤラー・バヤラーの親戚の皆さま・あやこんには感謝、感謝です。
バヤラーさんというのが通訳仲間なのです。かなりハードな取材に同行してもらい、しんどい思いも一杯したと思うけれど、最後まで粘り強く、誠心誠意で助けてくれたことに感謝、なのです。
冬(2015年2月)の旧正月あたりに、このオッチャンやバヤラーの家族を訪ねる「冬のモンゴルラクダツアー」を2人で企画しています。
歌声というのは、音だけでなく、ライブで伝わってくる空気の振動や息遣いなどによって、聴き手の皮膚や鼓膜も震えさせて味わうのが最高だと思います。
そんなリアルを求めてのライブ&ゴビの魅力を味わうツアーにできたらいいなって思ってます。

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最近、関わったお仕事のご紹介ばかりで恐縮です。
春から夏にかけての約5か月間、モンゴルの世界遺産のリサーチ・取材にべったり身も心も捧げておりました。
ようやくその成果がお茶の間・世界に配信されているのがちょっぴり嬉しい今日この頃。
今回は、モンゴルの伝統芸能の代表格「オルティンドー」です。
NHK総合にて11月22日 (土) 11:25~11:30放送予定。
「モンゴル民謡オルティンドー ~大草原に響く歌」のNHK世界遺産ライブラリーサイトはこちら(別ウィンドウで開きます。)
モンゴルの民謡には「オルティンドー(長い歌)」「ボギンドー(短い歌)」「ハリルツァーニードー(掛け合い歌)」という三つに大きくわけることができます。
このうち、世界無形文化遺産に登録されているのが「オルティンドー」です。
オルトが「長い」という意味。
ドーが「歌」という意味です。
「ィン」はモンゴル語の属格「~の」を意味しています。
独特のこぶしがきいた、ハリとノビのある歌声が特徴です。
とかえらそうなことを書いていますが、実は私、こういう由緒ある伝統芸能系って今まで苦手でした。
なので、大学の後輩で、大切な友人でもある「あやこん」こと三枝彩子さんに春からずーっと情報提供してもらっていたのです。
あやこんは東京外国語大学でモンゴル語学科を卒業した後でモンゴル国立文化芸術大学に留学し、みっちりオルティンドーの歌唱法の修行をして、現在、日本でプロのオルティンドー歌手としても活躍しております。
三枝彩子さんのブログでオルティンドーの魅力をさらに感じてみてくださいませ。(別ウィンドウで開きます)「いとしのオルティンドー」
一応、私もウランバートルで第一線で活躍中のオルティンドー歌手の方々との面識とかツテはあったのですが、まぁ、国宝級の方ばかりで、どなたにお願いすればいいのやら、という感じで、選り取りみどりで困っちゃう❤、と思ってたのですが・・・
ディレクターさんの意向は「市井の人」で「年配の人」=いかにも伝統を守ってきました@田舎ということで、今度は、テンション低く「困っちゃう」状態になってしまったのでした。
ほんとに上手な歌い手さんはウランバートルに出てきて歌手としてデビューします。
だから遊牧民で上手な歌い手さんなんて、どこでどうやって探せばいいのか・・・ひぃ!
もちろん各アイマグ(県)や各ソム(村)の文化会館所属の歌い手さんもいらっしゃいますが、生業が遊牧民で、オルティンドーの名手、という人を探すのは至難の業なのです。
まぁ、なんとかなるかな、って見つけていたわけですが、次から次へと、シチュエーションのハードルが上がってしまい・・・
久々に「ピンチ」という感じに陥りました。
さて、オルティンドーの有名どころ、というと、ドンドゴビ。
草原とゴビ砂漠の境界地帯にあたり、どこまでも広がる解放感のある大地が続いています。
ここでも、「困ったときは誰かに聞く」という人脈ネットワークを駆使して、ドンドゴビ出身の通訳仲間にSOSを発しました。
彼女が実家のご両親や親戚の方々、村長さんなどに相談し、リサーチのために現地まで行ってくれて、なんとか、よさそうな方を見つけてきてくれた・・・
それがラクダ飼いのおじいさん。
そっから先がさらに難しい感じで、ナーダム本番に歌う歌をと・・・
あぁ、ここでまた伝統的なジェンダータブーに阻まれて・・・。
もう実際、番組がどう編集されてるか、すっごく心配です。
世界的にも、日本国内の方々にも有名なオルティンドーだけに、有名どころの方(ネルグイ先生とかホンゴルゾルさんとかデルゲル先生とかトゥメンエヘの兄ちゃん歌手たちとか)に出演していただきたかったけれど、そうなると、せっかくの草原/ゴビ砂漠=広大な大地ではぐくまれた民謡・歌唱法というストーリーを語るために、わざわざウランバートル在住の歌手を地方に連れて行って・・・という「作り物」状態になってしまうのは嫌だ、というコダワリもまた、ごもっとも。
今回、遊牧民に歌い・語り・受け継がれているホンモノの世界遺産を見つけるのってほんとに大変で、優れた芸をもつモンゴル人がふつうに遊牧民として暮らすというのがとってもレアケースであることを感じたのでした。
他の作品も地元の方々のご協力なしには成立しなかった、と思うのですが、この回に関しては、とにかく「友情」にアツい義理堅く有能で親切な仲間に助けられて取材にこぎつけた作品です。
バヤラー・バヤラーの親戚の皆さま・あやこんには感謝、感謝です。
バヤラーさんというのが通訳仲間なのです。かなりハードな取材に同行してもらい、しんどい思いも一杯したと思うけれど、最後まで粘り強く、誠心誠意で助けてくれたことに感謝、なのです。
冬(2015年2月)の旧正月あたりに、このオッチャンやバヤラーの家族を訪ねる「冬のモンゴルラクダツアー」を2人で企画しています。
歌声というのは、音だけでなく、ライブで伝わってくる空気の振動や息遣いなどによって、聴き手の皮膚や鼓膜も震えさせて味わうのが最高だと思います。
そんなリアルを求めてのライブ&ゴビの魅力を味わうツアーにできたらいいなって思ってます。

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