モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。
モンゴル語の通訳として働くようになって24年弱、モンゴルで起業して13年目を迎えております。

旅と旅の合間に見つけた拙ブログへの久々のコメント、嬉しく思いつつ、モンゴルと日本の関係がどんどん親密に多方面で深くなっている今日この頃、同じ不安や切ない恋を抱えている日本人女子も少なくない、と思って、お返事を記事にすることにしました。

ご質問はこんな感じでした。



1. 姉さんアドバイスを!
だいぶ以前のブログをみて 是非ともアドバイスをお願いします。 この夏モンゴル旅行で ガイドさキスされ お嫁さんになる? それですっかり 恋してしまいました。今年6月まで 日本にいた彼が 手紙を書きます。と言ってくれた言葉を信じて 一ヶ月半 なんのれんらくもない。モンゴル男性は その場限り なんですか? まぁ人それぞれ何でしょうけど  とにかく今は 愛しさと 切なさで 心が辛い毎日です  どうかアドバイスを お願いします


はちご 2014-09-01 18:07:34


私なりの見解なので、絶対!ではないけれど、でも、どんな恋でも、女の子は「自分の気持ちに正直に、精一杯誰かを愛するのが正解のひとつ」と思っております。

「愛とは後悔しないこと」だと。

恋愛にはタイミングと勢いとパッションが必要です。
自分ではコントロールできないくらいの胸のドキドキ。
なりふり構わず、「この人、いいわー!」っていう情熱は、人をいつも以上に美しく、はつらつとかわいらしくしてくれるエネルギー源です。

その1の記事はコチラ


さて、自分の相手に対する気持ちが「本物かどうか?」
本当に自分は「彼」と結婚したい、つきあいたいと思っているのかどうか?

自分の気持ちを確かめるというのはとても大事だけれど、「結婚」の二文字が出てきたときは、勢いとともに、未来を見つめる冷静な目も大事になってきます。

結婚となると、夢見がちで舞い上がってばかりもいられません。
結婚となると「2人(モンゴルの場合は子供ができるのがわりと早いため3人)が生活できるだけの経済力の有無」とか「どこで暮らすのか?各自が営んでいるライフスタイルとどう折り合いをつけるのか?」など、とっても現実的な検討をする必要があります。

モンゴルで生活する、を選択したとしても、「草原の遊牧生活に嫁に入る」のか「ウランバートルで仕事する」のか「専業主婦としてモンゴル人の嫁になる」のか「家計をささえるメインはモンゴル人男性になるのか?日本人女性の自分も仕事で稼げる手段を確保しておく必要があるのか?」などかなり選択肢が多様です。

結婚は一人で決められる問題ではなく、2人でよく話し合って、今後、どのように一生を添い遂げていくのか?を検討する重要案件ですから、1-2年では結論がつかないかもしれません。
モンゴル人は「子供ができたら、即結婚」というのを当たり前のように考えているし、特に、遊牧民だったりすると、子供は労働力としてたくさんいたほうが幸せだと考えるので、わりと単純です。「好きなら結婚しよう」はまったく自然なことです。「セックスしたら結婚と同じ」と考える男性も20年前はたくさんいました。(最近の若者はわりと慎重派みたいだけど)

モンゴル人は男性・女性にかぎらず、手紙を書くという作業が苦手です。
携帯電話のSMSなどはマメマメですが、お手紙ってわりと時間かかりますよね。

ちょっと現実的なお金の話。彼の経済力ってどうよ?ということを想像してみます。

日本語観光ガイドのお仕事ってかなりのベテランでも1日3000-6000円くらいが相場です。
学生の夏休みのアルバイト、などだと1日2000円程度のようですが、でも、このレベルのガイドさんは、片言日本語だったり、ホスピタリティやサービス面、ガイドとしての能力などを考えると、恋愛事情に詳しく、自分の旅費は自分で稼ぐしっかりした日本人女子が、「結婚まで考えちゃうほど」のレベルではないと思うので検討対象からは外す。

日本人ツーリストって欧米人と違って、ガイドさんやドライバーさんにチップを渡す習慣がないから、日本語ガイドは、会社で決められた日当を報酬として生活することになります。

今、モンゴル人一人当たりのGDPは約$4000くらいと言われていますが、これは鉱山開発用に投資された重機や準備金等の外国投資が生産に組み込まれ、290万人弱の人口で割られているから、本来の一人当たりの平均「所得」よりもはるかに高い金額で設定されています。

とはいえ、失業者が14%程度、約20%くらいが遊牧民(自営業)で、ウランバートル・ダルハン・エルデネットの三大都市に人口の60%程度が集中していることを考えると、ウランバートル市内の主要産業で順調な業績を上げている企業の正規社員/職員として雇用されていたり、経営幹部社員などをしている人の平均年収の実態は大体、年間$5000弱くらいでしょうか・・・

単純労働(掃除人・当直窓口/守衛・調理助手など屋内で行われ、特に学歴や技術が要求されないもの)だと、最低賃金レベル($100程度)ですし、日雇い人夫は建築現場などで1日$15-20くらいです。

遊牧民として自己資金だけで現金を賄える人たちの平均世帯収入は持っている家畜頭数によってかなり差がありますが、現金収入が年間を通じて安定して入ってくるわけではないし、GDPには家畜頭数=国家的な生産力という考え方で計算に入っていると思います。
資産価値を現金換算すると、貧困層に入ることはないと思いますが、家畜飼育にかかるコストを考えると、モンゴル経済的には「貧困層」に入れられて、所得税・事業税は非課税とされている人たちが多いです。

日本語ガイドさんの収入を考えると、ハイシーズンは6月から9月半ばまでの約4か月間。
1回のツアーが7泊8日だとして、アテンド日数としては、6日分(空港送迎の場合は出迎え・見送り合わせ技で半日計算か1日計算のところが多い)x$50=$300.
1ヶ月に4回のツアーに出て4か月間フルで活動するとしたら、$300x4x4=$4,800.
とてもよいガイドさんの場合、パックツアーでアテンドした場合、お土産屋さんなどに連れて行ったとき、売上の3-10%くらいがお店から「謝礼」を出してもらえたり、チップをいただけたりするので、その分を入れれば、ワンシーズンで平均年収分くらいは稼ぐことができます。

でも、さすがに毎日、というのは体力の限界を超えてしまうでしょうから、大体、$3,800程度が一夏の稼ぎ、くらいでしょうか?

国立大学で博士号をもっている常勤講師/教授の1ヶ月の給与が手取りで大体800,000TG($450弱くらい)であることを考えると、稼ぎは悪くない感じです。

モンゴル人の20代ー30代前半のカップルの生活費を稼ぐ、という意味では、十分やっていけるんじゃないかしら?

6-9月半ばくらいまでは土日も休日も返上で朝から晩まで働きづめになりますが、オフシーズンは別の仕事をしたり、学校に通ってキャリアアップをしている人が多いです。
余暇が多いとデート時間なども増えます。
モンゴル人男性の性欲ってたぶん15-60歳くらいまでほぼ衰えることなく日々がっついているような印象が・・・(私のまわりのラブラブライフの人たちだけだろうか?)
そして、ウランバートルにはセクシーダイナマイトなスレンダーなのにグラマーというすごい女子度の高い若い娘がうじゃうじゃです。
こういう環境で、「遠い日本の彼女を思って禁欲生活でいなさい」というのは気の毒な気がします。

でも、愛をささやきあった日本女性を恋しく思って操をたて、「もうすぐ結婚するんだ」ってわくわくしている日本語ガイドさんもいないわけではないのです。
モンゴル人男性はよくも悪くも純情です。根が単純だから、あんまり複雑な人生設計とか生涯年収を計算してどうやって国際結婚を成立させるか、なんてところまで想像ついていないと思います。

はちごさんがモンゴル人の日本語ガイドさんとの恋愛について、それを結婚まで発展させたいと思っているのかどうか?ということもよく考えてみたら、逆に「自然消滅でよかった」のかもしれません。

はちごさんなりの「2人の人生設計」を具体的に想像してみて、「これなら彼と二人でやっていける。幸せな結婚生活が見えてきた」と手ごたえがあるならば、はちごさんから彼に熱烈アプローチしてみるのはいかがでしょうか?

結婚となると国際結婚は日本人同士の結婚以上にめんどくさいハードルがいっぱいです。
モンゴルは国際結婚カップル間に生まれた子供に関するハーグ条約には加盟していませんが、子供ができたら、親権どうするか(日本もモンゴルも単独親権です。養育義務は双方にあるけれど)など考えると、相当にめんどくさいことだらけです。

さらに、年収が$4000=7,280,000TGくらい?というのはウランバートル市民としては、悪くないし、人並みの生活には十分、な気がするけれど、日本で働いている女性にしてみれば、ご自身の年間所得で考えたら「えーーーー!私の1/10?1/5?」って少なーい!って思ってしまうかもしれません。

ワーキングプアと言われている日本ですが、それでも腐ってもかつての世界トップの経済発展国・世界1の勤勉先進国の妙齢の女性の年間所得はモンゴルに比べれば圧倒的に多いです。

ここで「経済格差」を意識しちゃうと、二の足を踏む女性が出てきてもおかしいことではありません。

会社経営とか家畜管理というような余計なコストを考えず、普通の「雇われ人」だったとしたら、私にとっては、$4000程度の収入があれば、衣食住+外食デート+映画くらいの年間コストには十分です。(もともとそんなに生活費がかかる性分ではないので)

彼の経済力とともに検討課題に入れたいのは、「彼の実家の経済力=親兄弟・親戚が経済的に自立しているのかどうか?」と金銭感覚です。

高収入の稼ぎ頭だったとしても、住宅ローンや自動車ローンを抱えていたり、たばこやお酒の常習者だったり、カメラやビデオなど機材にお金がかかる趣味を持っていたり、親兄弟の金銭的な面倒を見ている人だったりすると、実際に使えるお金はかなり少ないかもしれないし、「お金が入ったら使っちゃう」タイプの人だったりすると、日本人的感覚からすると「厳しい」と思います。

モンゴル人と長年つきあっていて、そのたびに辛いなぁって思うのは、金銭感覚の違いです。

親しくなってきたって思うとモンゴル人は、「ん万円以上」の投資なり借金なり資金調達についての相談をしてきたりします。

突然、「病気の母親」とか「病気で手術をうけないと余命が数ヶ月の妹」などが登場してきて、手術代のカンパなどを求められたりすることもあります。

私の数少ない日本人的男女交際の経験では、男性が女性に「お金の無心」をするってことは皆無だったのですが、モンゴルでは付き合ってもいない人間からですら、「5分話せばお金の話」になるといっても過言ではないのです。

こうした金銭感覚について、どこまでつきあいきれるのか?

さらには、ご実家のご両親にまで迷惑が及ばないか?といったことも重要な検討課題です。

私は基本的に、「結婚は一生を添い遂げるための愛し合う男女の誓約」であると考えています。
なので、一生をかけての金銭管理をどう考えるか、ということを無視して、結婚を検討することはできません。

最近はセクシャルな関係は経済的自立なくても、恋愛感情と性欲本能の勢いで成立するもののようですが、結婚は愛情と勢いだけで話を進めちゃまずいんじゃないか?と考えております。

結婚したくなるほどの愛情というのは、ご縁のなせる業であり、勢いはとても大事で、結婚欲のビッグウェイブって人生でそうそう起きる波でもないと思うので、そういう波に乗れるかどうか?は女性としても、適齢期になったら、それなりに覚悟しておいたほうがよいと思います。

(といいながら、私は独身ですけどねー)

わー!めんどくさそう!!
って思っちゃいましたか?

男女間の愛情って、2-3年で付き合い始めの情熱のピークは過ぎてしまうらしいです。
でも結婚における金銭管理ってかなり重要なことで、婚姻関係を維持するかどうか?のシビアな検討の場合、「お金の問題」は大きな分岐点となると思うので、この辺はしっかり考えた方がよろしいです。

愛する人のためなら、全財産投げ出してもいいわ、この人のためならどんな貧乏生活だって平気、彼のために私、がんばって働くわ・・・

そんな気持ちがちょっとでもあるなら、とりあえず「彼の胸に飛び込んじゃえば?」って思ったりもします。

なりふりかまわないほど揺さぶられる恋のビッグウェイブって、女性の人生ではそうそうあるものじゃないから、大人女子なら、「とりあえずYou,乗っちゃいなYO」も「あり」だと。

水と金は「高いところから低いところ」に流れこむものです。

女性のもっている「お金」が「愛する男性」の懐なり夢なりに注ぎ込まれることも恋愛っていう土俵の上では、誰が何と言おうとも「あり」って肯定できるのが、「結婚前提の恋愛」じゃないかしら?

(続く)